映画おじさんの絶品クリームシチュー

謎テンションで新作映画の感想を書きます。

君の名は。 感想

何度も何度も、何度も何度も、胸の中で反芻してます。

f:id:ma2baga2:20160920130319p:plain

本作のネタバレ:核心を突くほどネタバレします。視聴してからお読みください。

また未視聴の方は、公式サイトや予告の内容も観ないで行くことを個人的には推奨します。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain とりあえず言いたいこと言わせてよのコーナー。

先ずはじめに、実は視聴直後の感想としては「惜しい部分もあったけど、全体的に良かったなあ。」といった程度のテンションで、世間一般の爆発的な熱量、社会現象とまで化したあの絶賛とは少し身を引いた感想を抱いておりました。

しかし、しかしですね。サントラを買い、物語を振り返っていると、どんどんどんどん思い入れが強くなってしまい、今や瀧くんと三葉ちゃんのことを考えない日は無いほどまでに愛しく思うようになってしまいました。本作のように、ごくごく稀に「観終えてしばらく経ってから、どんどん好きになる」作品というものが以前にもありましたが、ここまで加速度的に自己評価が上方修正されることは珍しかったです。もう、なんかもう、大好き・・・大好きになってしまいました。君の名は。大好きです……。

f:id:ma2baga2:20160920134029p:plain

三葉ちゃんが愛しくて仕方ない。三葉ちゃんーーーーー。

演出がどうとか、脚本がどうとか、役者の演技がどうとか、そうやって僕は映画を観ているんだと思います。その見方が悪いとはあまり思いません。しかしながら、この作品にだけ関して言えば、もう作品という枠を超えて、瀧くんが、三葉ちゃんが、好きで仕方なくなってしまったんだと思います。二人のことをもっと観続けていたかったのです。107分の間だけしか二人に会えないことが辛くて、今でも時々二人のことを考えてしまうのだと思います。大の大人が今更現実と虚構を倒錯するなんて大変気持ち悪くお恥ずかしい限りですが、彼らにもう一度会いたい。彼らが幸せに暮らしていることを確認したい。最早、演出や構成の不満なんてぶっ飛んだ感情だけが残っています。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain お前ら可愛すぎか!二人の距離が縮まるシークエンスがたまらない。

冒頭、三葉ちゃんが住まう町のバックグラウンド(すっごい田舎!とか、お家柄窮屈な立場にいる!とか)を説明するような日常シーンから始まるのですが、かなりスローテンポで丁寧に描かれるんですね。これ以上間延びしたら退屈してしまうのではないかと不安になるも、その絶妙な間で、「何かおかしなことが起こっているぞ?」ということが徐々に明らかになる…。そしてそれが「確信(=私達、入れ替わってる!!)」になった時にガツーーン!とRADWIMPSの「前前前世」が流れ始める!!!そして、二人の距離感も、物語全体も、一気に加速する!! ドカーーーン!良すぎ帝国建国!建国されましたーーー!!おめでとうございます!(あ、僕の特有の褒め言葉です。)

f:id:ma2baga2:20160920142249p:plain

彼らが急速に親密になってゆくのが手に取るように分かるシークエンス。最高。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 切に願う、「頼むお前ら二人とも幸せになってくれ。」

その後も良すぎ帝国は順調に建国されていきますが、やはり誰そ彼時に二人がようやく会えたシーンは極上でしたよね!!!

そもそも二人には「距離の壁」があったわけですよね。高校生からしたら十分すぎるほど高い壁です。それでも、どうしても会いたいからと、ついに行動へ移した瀧くん(三葉ちゃん)を襲う「時間の壁」。これが発覚したときの、あの絶望感。もう人間の力ではどうすることもできない壁。そしてそして、それらに屈さず、ようやく二人が出会えたシーンがあの"誰そ彼時"のシーンなわけですよね!!!故にもう観てるこっちは「嗚呼、やっと、やっと、やっと会えたね……!!」ってそれだけで感極まって泣き出しそうになってしまうんですよ。

しかしこの時の二人ときたら「あ、あの口噛み酒を飲んだの!?この変態!!」「な、なんでだよ!」「そういえば私の胸も触ったことあるでしょ!!妹が見てたんやからね!」「悪かったって!い、一回だけだよ…」「……そうなん?…って回数の問題じゃないわ!!」

もうこいつらは本当にもうーーーもうもうもう!!!会いたくて会いたくて仕方なかった二人の対面中に、くっだらないことで喧嘩してるんですね。演出的には二人で「会いたかった…」って泣きながら抱きしめ合うシーンでも別に良かったと思います。でもこっちの方がよほど二人にとって「らしい」というか、君たちはこんな時でも変わらないんだなって思えて、ホッとして、なんかそれさえも泣けてきて、余計に「本当に会えて良かったね」って思えて、愛しくて、また泣ける。二人が愛しくて仕方ない。

そこからの容赦ない展開なんかはもう胸が一杯になって何も言えませんでした。

f:id:ma2baga2:20160920144323p:plain

そしてやるべき事はまだ残っているという残酷さ。ハッピーエンドが見えない。

抱きしめたりキスしたり、そういう直接的なシーンって結局最後の最後まで無いんですよね。ハッピーエンドなのに切なさが残る理由はそこにもある気もします。僕はこの二人にどうしても幸せになってほしい。とびきり幸せな姿を見せて早く安心させてほしい。早い話が、幕引きの後に今までの分をまとめて存分にイチャイチャしてほしいです(どーん)。こうしてオタクは、二次創作を漁ることになるんじゃないか………。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 新海誠の描きたかったもの、僕の観たかったもの。

このトピックでは冒頭で「惜しい部分もある」と申し上げました点について、具体的に記そうと思います。

本作には「糸守町に隕石が落下することを事前に知った瀧くんが、皆を救うために避難勧告を周知しようとする」という、ロマンチックからケイパーものへ一転するシーンがあります。(ケイパーというと流石に語弊が強いですが、少数のチームが町全体に対して知恵と工夫を武器に何かを成し遂げようとする様を表現したかった。)放送ジャックや山火事の偽造など、この作戦を瀧くんが画策するシーンで僕は俄然ワクワクしました。

しかし結論から申し上げて「糸守町の住人が助かった過程」はバッサリと省略されておりました。恐らく最終的には三葉が町長である父親の説得に成功したということなのでしょうけれども、説得シーンさえも丸々カットされているため流石に肩透かしです。ケイパー要素が介入したのはほんの最初だけで、映画で描かれているのは「皆が助かった」という結果そのものだけです。その点が残念で仕方ありませんでした。

f:id:ma2baga2:20160920151536p:plain

「説明不足」については各所を観ても賛否両論な様子。

ですがそもそも新海誠という監督はそんなものに興味のない作家さんなのかな、とも解釈しました。実は過去作品を一つも観たことが無いのでなんとも言えませんが、表現したい内容物がかなりハッキリされている方で、それ以外のことを大胆に排除しているのが本作だとするならば、それはもう仕方ないことだと思います。

彼の描きたいものと、僕の観たかった内容が元より違っていたならば、この指摘はナンセンスなのかもしれません。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain その他、雑多に熱量込めて話そうのコーナー。

細かいところからいくと、ユキちゃん先生の板書がめっちゃキレイな楷書体で惚れそうになりましたね!字がきれいな女性がタイプなのでたまりませんでした!(なんだその限定的な好みは。)瀧くんが普段つるんでる友人(司と真太)も良かったですね。特に司くんの女性慣れした感じの佇まいがまた良い。美人な奥寺先輩にも普段通りなところとか、あとババ抜きしてたシーン良かったよね!!!それと同じくらい田舎組も良かった。三葉とテッシーとさやかちゃんの淡い三角関係、たまらん…。

あとあとあと、やっぱり音楽の功績がめちゃくちゃ大きいですよね!!!どの曲も聴き直すと情景が浮かんできて胸が締め付けられる。前述の通り前前前世も最高だけどやっぱ「スパークル」と「なんでもないや」の二強かなーーーー。

で、ラストのラストなんだけど、出来れば思春期の頃にくっついてほしかったーーーー!!!やっぱ大人になってからの恋と未成年の恋は全然違うと思うので、もっともっと甘酸っぱい思いをして、甘々な思いもして、二人には愛を育んで貰いたかった…。まあ、お互いに誰とも付き合わないままここまで来ただろうから、今後も手をつなぐのさえ恥ずかしがったり、「中学生かよ!」ってツッコミ入れたくなるようなうぶさを見せてくれそうだし、それも良いと言えば良いのか…?うーん。でもやっぱ高校の頃から付き合ってほしかったな。

二人にはドン引きするくらいデレデレになってほしかった。どっちが甘えるのかな~?瀧くんだろうな。デレデレすぎて三葉を困らせてくれーーーーそして「もうーーくっつきすぎやよーー!!」とか言われてくれーーーーーーーー頼むーーーーーーーーーー!!!!

f:id:ma2baga2:20160920155011p:plain

頼むーーーーーーーーーーーーーー!!!(画像は無関係です。)

この映画、酸いも甘いも噛み分ける年齢になってから観た故にこの程度で済んでるけど(それでもかなり重症です)、こんなもん中高生の多感なティーンエイジャーが観たらありとあらゆる感情が化学反応と大爆発を起こして、もうどうしようもなくなるんじゃないですか!? 居ても立っても居られなくなって、片想いの子へ告白しちゃうんじゃないですか! 危険だ~~それは危険だ~~~。

おわり。

 

記事紹介のコーナー。

司くんの件、不覚にも初見では気づかなかったです。やりおるの~~。

 

スーサイド・スクワッド 感想

かったるい の一言に尽きる映画でした。

かなり酷いことを言いますので、この映画が好きな方は閲覧をお控えください。

f:id:ma2baga2:20160917004516p:plain

本作のネタバレ:観なくていいよという意味も込めてネタバレ全開です。

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 「よくもここまで退屈に出来ましたね賞」堂々の受賞

いやーーーーーーー怒りのあまり衝動的に更新しちゃいました。ちきしょう。なんだこの映画。もうダメだ…ツラすぎる。バットマンVSスーパーマンのときも思ったけど、「多少期待はずれだとしても、駄作とまではいかないだろう」という想定を清々しく裏切るのやめようぜ。「悪役たちが主役側にまわって世界を救う!?」ってもう、その時点で誰が聴いてもワクワクする設定じゃないですか。制作規模やテーマ性からして一定の面白さは担保されてるはずと思うじゃないですか。それをよくもまぁ、ここまで清々しく裏切れるものだなあ…思わず感心してしまいました。苦痛すぎて、IMAX3Dだったのに途中から3Dメガネ外しながら観てました。

f:id:ma2baga2:20160918110458p:plain

こんなに楽しそうな絵面から、こんな退屈な映像が生まれるもんなんですね…。

ネタバレ全開になりますが、本作がどうしてここまで退屈なのか、頑張って整理してみたので興味があれば読んでください。そして「期待はしないで観てみようかな~」なんて思っちゃっているその甘すぎる考えを是非改める機会にしてください。これ以上僕のような被害者を出してはいけない。退屈だった、退屈だった。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain テンポが悪い、説明的すぎる、そして次第にどうでもよくなる。

まず冒頭について、悪役たちを利用して精鋭部隊を編成しましょという政府の企みから話が始まるんですが、もうそこからしてマズくてですね。各人がどんな悪役かをちんたらちんたらと一人ひとり説明していくんですよ。まるで「映像の箇条書き」とでも言いたくなるように説明を一つ一つダラダラダラダラダラ、なんかもう6,7人くらいやってなかった?次はこの人、次はこの人、次はこの人、次はこの人……って延々。3人目くらいで「いやもう誰でもええわ……」ってなるんですよ。こんなアホな見せ方ある???こういうのは最初サラっと流して途中のシーンなんかで見せ場作ってやればいいでしょうが。しかも尺をさいてる割に説明シーンも大して魅力的じゃないし、この時点でゲンナリですよ。それがやっっっっと終わった…と思ったら今度は囚人たちへの部隊勧誘をまたもや各人に対してやりやがる。次はこの人、次はこの人…地獄が続く。そんなところで時間を取るなよ!!僕らが観たいのはその先でしょうが。

f:id:ma2baga2:20160918110651p:plain

あ、急に褒めますけど、役者陣の演技はめっちゃ良かったです……。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 悪党のやりたい放題感 皆無。むしろ真面目に服従してらっしゃる。

それらがようやく終わって悪党チームが結成されるわけですが、この悪党チームを雇っている「政府」ってのがとにかく小悪党臭さ満載な組織で。そんな奴らが悪党を脅して服従させてるもんだから、さっきまでの「この悪党達はヤバい奴らだぜ」という説明シークエンスが否定されていくのです。もう全然ヤバさが伝わってこない。長ったらしくベラベラと説明してたことなんかより、「三下小物政府に脅されて全員がおとなしく屈してる」という事実一つのほうがよほど説得力が上回っていました。

だいたい予告編とかでもそうだけど、「こいつらイカれてやがる…」みたいな奴らがチームになっちゃうところにワクワク要素があったのに、それが始まる前から弱み握られておとなしく命令に従っちゃってる様をまざまざ見せつけられるなんて、この時点で今回のコンセプトは破綻だよ!解散!解散でーーーす!!!おつかれさま!!!

f:id:ma2baga2:20160918110756p:plain

サイコな悪役集団なのになんやかんやで三下に服従するからイライラ。

ともかくこの映画、コンセプトからして僕が期待していたものと違うのです。本作にフリーダムさは皆無です。むしろ皆、真面目なんです。その辺の主人公より必死に我慢しながら、耐えて耐えて耐え忍ぶんですよ。葛藤とかもあるんですよ。求めてない!!求めてない……ちくしょう、求めてないんだよ…求めてないんやああああああああああああああああああああ(今日言いたかったことはだいたい言えました。)

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 興味が持てないシナリオに、かったるさだけが蓄積され続ける。

そして悪役精鋭チームが成し遂げるミッション自体もまたショボくて、「政府が兵器として所有していたバケモノに出し抜かれて逃げられちゃったからなんとかして~~~」という話。とにかく政府の小悪党っぽさが半端じゃない。そして、そのミッションに渋々付き合わされる悪党たち。はーーーーーーノレねえ…全然ノレねえ……しょぼいよ。なんとか頑張って規模だけでかくしようとするんですけど、規模の問題じゃないんですよ。人工衛星が爆破されて国中が停電!みたいなシーンを取ってつけたように挟んでるんですけど、そういう問題じゃないんだよ…。規模が増してもショボさは変わらないんだよ……。

f:id:ma2baga2:20160918111610p:plain

絵面ばかり壮大にしても仕方ないんだよ!!!

あと、ラストバトルに向けて全員が一念発起するシーンが本作にも用意されてるんですが、そこも「とりあえずやりました」って感じでつまらなかったんだよなーーー。それぞれが戦う決意を新たにするシーンって定番じゃないですか。(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーで5人が並んで歩く名シーンなどを想像してください。)本作もそういうシーンが用意されてるのですが、わーわー言いながらも結局なぜ戦う決意をしたのかよくわかんないんですよね。このシーンに限らず、とにかく心情描写に合点がいきづらい。さっきから言ってる通り、全体的に取ってつけたような感じがこびりついている。

 そして極めつけはジョーカーさん雑に扱われすぎ問題。ヒース・レジャーの後継という大役を買って出たのはジャレット・レト。彼の演技は良かったと思います。狂気に満ちていました。しかし如何せん出番がことごとくしょうもない……もったいねえ…なんだこれ……。狂気的な演出ばかりが先行して、実行動としてはジョーカー以外の誰かがやっても別に良いようなことしかしないんです。……ねえ、もうこの映画の話やめて君の名は。の話しない?みつはちゃんの話、しよ????みつはちゃん可愛いよねーーーーーねーーーーー?????

f:id:ma2baga2:20160918111340p:plain

繰り返しますが、演技は良かったと思います。手に彫ったタトゥーとか気持ち悪くて良かった。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain まとめ:みんなメソメソしてる。

もうそろそろこの結論も食傷気味だけど、要は予告詐欺ですよね…。はい。

蛇足でもう一つダメ出しするなら、戦闘中やピンチな時などに、しょうもないやりとりをする演出って楽しいじゃないですか。(わかりやすく例を挙げるなら、デッドプールが大暴れしながら「そういや家のガスの元栓閉めたっけ?」とか言うやつ。)あの余裕綽々っぽさってたまりませんよね。じゃあ今作はどうかと言うと、なんかそのあたりもうまく作用していない。気の利いたセリフっぽいことは発するんですけど、「お、おう……」となるばかり。意訳が悪いのかなーーー。滑ってるんですよね。

結論としては、DCはもうだめだな…という印象です。このままいくとワンダーウーマン観なくなっちゃいそうだ。はーーーー皆が大暴れするところが観たかったよ。なんだよ、メソメソしてんなよ。皆まじめかよ。とにかく退屈でした。

ウィル・スミスとマーゴット・ロビーのコンビと言えばフォーカスってのがありましたけど、あれも全然ダメでしたね…。何の因果か僕の中にジンクスが出来つつあります。

 

おわり

ファインディング・ドリー

昔書いた記事のお蔵出しです。

f:id:ma2baga2:20160918104421p:plain

本作のネタバレ:ネタバレなし。細かい内容については触れます。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 主人公ドリーを観ているだけで楽しい!それだけで魅力的!

本作で最も魅力的だったのはドリーというキャラクターそのものでした。

彼女は忘れん坊という言葉だけでは片付けられないほど忘れん坊で、例えるなら「ちょっとニンジン買ってきて!」「ニンジンね!いいよ!で、何買ってくるんだっけ?」とか、そういうレベルの忘れん坊なんですよね。そんなドリーに周囲はイライラしてしまうこともあるけれど、それでも皆ドリーのことが大好きで、何故なら彼女はとても一直線で、忘れん坊ゆえか、誰かを恨むこともない。根に持たない。彼女を通せば全てポジティブに還元されちゃうのです。

f:id:ma2baga2:20160918105247j:plain

誰とでも友好的に話しかけるドリーを見てるとそれだけで良い気分になる。

彼女はとにかく一直線だから行動力が半端じゃありません。考える前に身体を動かします。だから物語が停滞することもなく、ウジウジ展開が嫌いな僕にとっては大変好みな作りでした。あと、ドリーの周囲をかためるキャラクター達も嫌なやつが居なくて良いですね。みんな愛らしい!ちなみに僕の推しメンはジンベエザメのデスティニーちゃんです。吹き替え版の声もいいのよ。かわいい。

f:id:ma2baga2:20160918105330p:plain

僕の推しメン(?)です。かわいいです。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 前作に比べるとコメディ寄りすぎか。しかしそれもまたよし。

若干の不満があるならばスケールが小さく感じられた点でしょうか。というより、前作ニモは結末までハラハラでしたが、本作は「割となんとかなりそう」という空気が蔓延しているんですよね。だからハラハラ大冒険というよりはワチャワチャするニモ達を微笑ましく見守る感じでした。水槽から水槽へと軽々移動しているシーンなどから、「水がないと生きていけない」という前提が揺らいでしまっていたせいでしょうか。

f:id:ma2baga2:20160918105421p:plain

水陸両用のチートキャラ、ハンクの助けもあって、「どうにでもなる感」が出てしまった。笑

とはいえ、なんやかんやで終始しっかり楽しめたので不満はありません。ラストへ進むにつれてリアリティ加減がガバガバになっていくのも僕はギャグとして楽しかったので、肯定できます。障碍や個性に対するメッセージ性について特筆されているブログを多々見受けましたが、逆に、そこに関して響く部分は特に無かったかなーーーピンと来ませんでした。鈍感なんでしょうか。裏を返せば重い題材にもかかわらず尾を引く話にならなかったこと自体も功績と言えるし、爽やかな気持ちで劇場を後にできました。  

ズートピアと肩を並べさせると少々相手が悪い感は否めませんが、娯楽映画として十分に及第点で、適度にワクワク、適度にジーンと、適度に笑えて、見終えたあとに笑顔で「楽しかったね!」と。とても安心できるファミリームービーという意味では、ごちそうさまの一言でございました。ドリー可愛い!

おわり

シン・ゴジラ 感想

まごう事なき「日本映画」。今年の邦画フィーバーはいつまで続くのか。

f:id:ma2baga2:20160802210002p:plain

本作のネタバレ:核心は避けますがネタバレします。視聴後を推奨。
ゴジラシリーズの知識:今回が完全なる初です。
エヴァンゲリオンの知識:アニメ全話及び序、破、Q 全て各複数回観てます。
 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 知恵と工夫と信念で、ゴジラを迎え撃つ日本映画

本作は舞台が「日本」です。もっと言えば「僕達が生活する日本」です。我々と別の世界線の日本じゃなく、本当に僕らが今生きている「日本」が舞台なのです。これは日本のディザスタームービーなのです。その点にとても感服しました。……いや、こんな言い方をしてもなんのこっちゃ意味不明なので、以下にもう少し詳しく掘り下げます。
 
本作はキャッチフレーズにある通り、ニッポン対ゴジラの映画です。例えばもしも実際に日本へ怪物が現れたら、それに対抗しうるヒーローが現れてやっつけてくれるでしょうか。否、国民が知恵を絞って戦わないといけないんです。アイアンマンが、キャプテンアメリカが、脅威と戦うのではないのです。ましてやシンジくんが頑張るわけでもない。特定の主人公が国の命運を掛けて戦うのではないのです。日本という国が、ゴジラと戦うしか道はないのです。(建てつけ上、長谷川博己が主人公ではありますが、彼も組織の司令塔という立場に過ぎません。) 日本にゴジラが現れたら国民はどうするか。このテーマと真摯に向き合ったのが本作だと思います。

f:id:ma2baga2:20160802211530p:plain

ヒロイックな演出はあまり用意されておらず、ゾッとするほど淡々とした映画です。

ちなみに舞台が日本ゆえに、普段通勤している街なんかでもゴジラが大暴れするもんだから、「ああーーーー俺の街がーーー!!!」ってな楽しみ方もありました。何なら「今ぼくそこでこの映画みてるんですけどーーー!!!」というシーンもあり、そこは流石に笑ってしまいました。
 
 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 「日本がゴジラと戦う」という本当の意味と向き合う

日本がゴジラと戦うと言っても、実際には様々なしがらみがあります。意思決定機関である政府は国を動かす重い責任がある故に、画期的な最善手よりも堅実な一手こそ重視します。緊急事態でも、議決などのしかるべき「段階」を踏みます。観ていて「今まさに死人が出てるのに、そんなことしてる場合かよ!」と思うと同時に、だけどこれが彼らにとっての「最速」であり「最善」であることも納得できてしまう。
つまりですね。本当に今、我々が生きるこの日本、この東京に、突如見たこともない脅威が現れたら、我々はこうなるんだろうな〜〜〜…というイメージにめちゃくちゃ説得力があるんですよ。政府はまだるっこしい召集や決議を経ないと何も行動に移せない。ゴジラへ立ち向かうためにも、法律との折り合いもつけないといけない。僕は政治や法律に詳しくないので、本作がどれほど現実社会に忠実な描写かは計れませんが、とにかく「そんなことまで気にしてからしか何も動けないのかよ…」というもどかしさがつきまとい、そこが非常に興味深くもあり、楽しかったです。終盤なんかは国際事情まで絡んできてもう、もう…いい加減にしろ!って感じです(褒めてます)

f:id:ma2baga2:20160802211742p:plain

とにかく専門用語が飛び交い、話し合うシーンの多いこと多いこと。

要するに、この絶妙なフィクションラインの配置が、本作を極上のディザスタームービー足らしめる大きな要因だと思うんですよ。だからドラマチックな人間模様、善や悪、恋愛、ヒロイック、その他諸々が本作ではこれでもかと排除されてるのです。そんなものは不要なのです。この物語は、ゴジラという突如現れた強大な脅威を迎え打った日本という国の話なのだから。
 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 後半以降、バランスが崩れ始める現実と虚構の境

ここから少し不満点なんですが、まず一番初めに言いたいのが…どうしても俺は石原さとみが受け入れられなかったんやうおおおおおおんうおおおおおおおおおん!!!!あいつめっちゃキャラクターキャラクターしてるから、あいつが出てくるたびにフィクションバランスが激崩れするんやああああ!!!この子、英語のネイティヴスピーカーという設定だからカタカナの部分だけやたら発音良くなるんだけど、あの演技とかもあざとすぎて無理やった……石原さとみ支持派の人、ほんますんません……。

f:id:ma2baga2:20160802212400p:plain

ちょーーーっと、あまりにも浮きすぎていた気がするんですが、いかがか……。

特に後半は石原さとみだけに関わらず、少しずつ現実と虚構のバランスが好みとズレてきたので、僕は前半こそが至高で後へ進むにつれて失速していった印象です。異端児の寄せ集めで対策本部を設立するくだりなんかは日本というよりは少年漫画のチーム戦に近くなってきたし。(それが悪いことかどうかというのは、完全に好みの問題)
とはいえラストバトルは興奮しましたね!!なんやその戦い方!ニヤニヤが止まりませんでした。
 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 「あれが良かった!」「これが良かった!」色々語ろうのコーナー

やっぱゴジラの描写だけでも最高でしたよね〜〜〜。憲法をも脅かす決死の思いで自衛隊の一斉攻撃を許可したのに、かすり傷ひとつ付けられずに作戦失敗に終わったときの絶望感とか良かったよね。
あとはやっぱり口から放射熱線の演出!!あれめっちゃ良かったですよねーーー。グオオオオオオっとビーム状に吐き散らかした後、熱線が弱まってきたらビームが炎になるんですよね。あの凄まじい炎さえも余韻なのかよ……という恐ろしさ。
そしてそして何と言っても進化前のゴジラ!!!気持ち悪すぎる!!!あれ最高。マジ最高。なんであんな気持ち悪いの……。ファーストインプレッション「気持ち悪っ!!!」これがねー、本当にねー、最高。(何回言うねん)
あとはあれですね。総理大臣の絶妙な頼りにならなさ。「苦しいところですが…ここはひとつ…」と承認を迫られるシーンが立て続けに続くところとか、めっちゃ笑いました。シリアスなシーンなのに天丼を被せてくるという名シーンですね。…しかしながら、完全にただのポンコツとして描かれているわけでは決してなくて、トロッコ問題を迫られた時に狼狽せずに「中断だ。」と宣言していたところとかは最高に格好良くて見直しました。頼りない描写はあるにせよ、総理大臣の威厳は保たれていてそれも良かったと思います。
作中エヴァのBGMが流れた件については、「あ、エヴァのBGMだー。」って感じでしたね(頭からっぽおじさん)。まあ雰囲気にはとても合ってたと思います。
あとはあれね。集まったニッチな専門家達の絶妙な気持ち悪さ。発言と発言の間に休符をいれないから聞いててめっちゃ疲れるんですよね。あのコミュニケーション苦手っぽさ最高でしたね。

f:id:ma2baga2:20160802213205p:plain

この子も気持ち悪くてよかった。(褒めてます)

f:id:ma2baga2:20160802213254p:plain

あと、こいつも気持ち悪くてよかった!(褒めてます)

 

いやーーーーー。後半にフィクション臭さが充満してしまった部分が本当にもったいないけれど、前半は自分でも驚くほどワクワクしたし、そもそもこうやって良くも悪くも「誰もが熱量を持って語りたくなる!」という部分に庵野秀明イズムを感じずにはいられませんよね。
僕は早くアスカちゃんに会いたいというのに、一向にエヴァ新作の発表が無いことに対するフラストレーションが浄化されてしまったではないか!許さんぞ庵野!!
 
おわり
 

葛城事件 感想

えげつなかった。

ファインディング・ドリーもシング・ストリートも感想溜めたままにしてるけど、さっき観てきた勢いでこちらを先にしたためます。

f:id:ma2baga2:20160724125636p:plain

ネタバレ:核心を突くネタバレ無し。細かいシーンについては触れます。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plainおよそ2時間、最初から最後まで胸が苦しい。もう許してくれ。

本作は、無差別殺人にて死刑宣告を受けた通り魔の家族にクローズアップした作品なのですが、感想としましてはあまりの陰鬱さに「もう許してくれ」の一言でした。語弊を恐れず言うと、底なしに不愉快な映画です。「観るんじゃなかった」と思う人も居ておかしくないと思います。

ただ、私個人としては、観てよかったかなと思いましたので、その辺を今日は書いていこうと思います。

f:id:ma2baga2:20160724133507p:plain

一見どこにでも居そうな家族の、絶望的な物語。

本作は「事件後」の話と「事件前」の話が何度も交差する編成をしており、一先ず最初は「事件後」から始まるのですが、我々は冒頭ほんの数分で葛城家の醜さに絶望することとなります。その最たる例が稔(次男・通り魔犯人)への初の面会シーンです。これがもう、心が折れるほど絶望的。よくもそんなガバガバの理論でいけしゃあしゃあとご高説を垂れることが出来るな???と、観ている我々も腸が煮えくり返ります。あまりに言い分が酷すぎて、もはや会話が成立しないんですよね。クリーピーの西田(香川照之)は話が通じそうで通じない気味悪さが魅力的でしたが、こっちは一目見てわかるサイコパスです。

本シーンを我々観客は「無差別殺人犯はやっぱり頭のおかしい人間なのだなあ」という認識によって処理します。つまり、彼の言い分が理解の範疇を超えているから、「こいつは頭がおかしい特殊な奴だ」と、我々の住まう社会とは別枠の人間として捉るんですよ。

f:id:ma2baga2:20160724143442p:plain

閾値を超えた不愉快さに、思わず「こいつは狂人だから仕方ない」と片付けたくなる。

しかし、しかしです。本作はそれで許してくれないのです。その後描かれる「事件前」シーンの数々が「あいつらは我々の身近にも存在し得るぞ。」と僕たち観客へ語りかけてくるのです。そして「こういう奴、身近にいるかもよ」という説得力は「お前も、お前の家族も、そうなる可能性があるんだぞ」というメッセージ性へと変化してゆくのですよ………これが嫌過ぎる~~~~~~~~~~!!!!むしろ、完全に頭の狂った人間だった方が、まだ良かったと言いたくなる!!!

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain圧倒的な絶望包囲網。頼むもう勘弁してくれ。

脚本もさることながら演出も的確です。各シーンに一縷の望みも与えない、まるで隙間をみっちりと密閉するかのような救いの無さに覆われています。

例えば、作中唯一の憩いのシーンとして、家族がたわいもない雑談をするシーンがあるのですが、このシーンもまた、次のシーンの絶望感を増すために用意されたお膳立てに過ぎなかったりします。ここの演出がもう最低最悪に絶望的(めっちゃ褒めてます。)なので紹介させてください。

そもそも雑談してる内容は取るに足らないちっぽけな話なのですが、他のシーンがあまりに醜い故に、この家族らが普通に会話してるだけで、あったか~~~く映る訳です。「私はちらし寿司だな~」「うな重は普通すぎない?」「じゃあ、カツは?」等と、しょうもない話をしている家族を見て「あああああああああ家族って本来こういうもんだよなあああ、あったけぇなあ、あったけぇなあ……尊いなあ……」と、しみじみ思うわけです。こんなくだらない、当たり前のような日常がこんなにも愛しく思えるなんて……。そんな感情になった矢先、やかんが沸騰するピーーーーーーッ!という音ともに…………ゾワゾワゾワッ!!!!!!ですよ。この演出!!!!まさに、地獄です。(褒めてます)

f:id:ma2baga2:20160724145636p:plain

この気持をあえて形容するなら……「おぞましい」でしょうか……

あとは最初から最後まで家庭で出てくる食事が全てコンビニ弁当や宅配ピザなどに終始している点や、家庭で唯一まともに思えた長男の保(たもつ)が「やっぱりこいつもこの家族の一員なんだな」と痛感させられる行動をとる瞬間など、やめてやめてやめて!!!と叫びたくなるシーン満載でございます。

あと、すごすぎて言及するの忘れてたけど、役者の演技も半端じゃない!全員マジで超絶すごいですよ!(褒め方適当か。)

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain決して絵空事ではない、明日は我が身という恐怖。

彼らは確かに狂人なのだけど、行動原理が全く理解できないかというとそうではなく、「こういう考えに基づいて動いてるんだろうな」という想像はついちゃうんですよね。彼らには彼らなりの意図を持っている。例えば葛城清(三浦友和演じる、犯人の父)の教育方針にも、行き過ぎた内容は数あれど根底には良かれと信じている正義や信念があるんですよね。その歪みが凄惨な環境を招いてしまった。

f:id:ma2baga2:20160724150738p:plain

「俺がいったい、何をした!!」 この叫びは彼の根っからの本心なのでしょう。

その証拠に、中華飯店で店員を叱り散らかすシーンも、本人は良かれと思ってるんですよね。店員が去った直後に「ほら、水餃子は美味しいでしょ。」って愛想振りまいてね。今更水餃子の味を楽しめるような空気ちゃうわ!!と言いたくなる。でもそれに清だけは気づいていない。ホラーだわ~~~~~~。だから、突拍子もない話じゃないんですよ。コミュニケーション不足や行き過ぎた信条、そういった重なり合わせによって明日は我が身なんですよ。それがまた怖い。家族ってどういう関係だっけ?地盤がゆるゆるになって怖い怖い。

だからまぁ、最後の最後にとった清の行動はある意味救いだった気もします。「やっぱ俺らはこいつとは違うよ」と、信じられるという救いです。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain映画とは関係ないけどちょっと聞いてよのコーナー

ところでこの映画でハッと閃いたのですが、どうやら僕は「鋭利な凶器で刺すシーン」が死ぬほど苦手なんだなと明確に気が付きました!!!アイアムアヒーローのゴア描写はセーフだったのですが、鋭利な凶器だけは無理らしいです。

だからあの名作「ヒメアノ~ル」も鋭利な凶器が頻出したせいで最高潮のテンションになりきれなかったんですね。いやーーー腑に落ちました。血が怖いというより、刺殺が怖いんだなあ。なんでだろ。先端恐怖症ってわけでもないんだけどな。痛そうだからかな?(適当)

 

ということで葛城事件、よかったです~(台無しか。)


日本で一番悪い奴ら 感想

ドチャクソ面白かったです。舐めてました。おもしろすぎ。

f:id:ma2baga2:20160717151315p:plain

本作のネタバレ:核心を避けつつ細かなシーンには触れます。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain倫理観ガン無視でエンタメ真っ向勝負。もはや清々しい!

いやーーーーこんなに面白いとは思ってなかった。本当に得した気分です。そして綾野剛を大好きになりました。(今まで「ベッドシーンばっかり起用されやがって羨ましい」とか思っててごめんやで。)ここんところ邦画が確変中で2016年に祭りが来てますね…邦画祭りじゃーーーーー!!!

さて本作を語る上で皆さん口を揃えて「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を比較に挙げているようですが、なるほどこれは確かにウルフオブ。セックスやドラッグの話という表層的な部分も類似していますが、根本的に「金もコネもない若造が、持てる手段という手段を使い尽くして、のし上がっていく物語」という大枠が共通しているんですねーーーー。これが大変清々しくて最高!本当に最高!!!

ウルフオブよろしく、倫理的に許されたことではなくとも、軽快なエンタメ・コメディ色を全面に出してることで観ていて不快感は無く、むしろ心地いいんですよね。

f:id:ma2baga2:20160717155405p:plain

ウルフオブで言うところのマシュー・マコノヒーのポジションを演じるピエール瀧先生。マコノヒーとは打って変わってカリスマ性を全く感じないところが良いですね。(褒めてます)

更に何が面白いかって、主人公の諸星(綾野剛)は決して悪に目覚めたわけではなくて、あくまで警察で成果をあげるため、愚直に「工夫をこらし続けてる」んですよね。そして工夫に工夫を重ねて、重ねまくった結果、とっんでもない所まで来てしまった…という話が本作なわけです。その規格外の手口といい、下っ端から成り上がっていく様といい、過程の全てがもう楽しくて楽しくて。最高です。すすきので道行く人々に片っ端から挨拶されてゆくシーン、素ッ晴らしかったですよね。

f:id:ma2baga2:20160717211441p:plain

拳銃の摘発数を増やすべくヤクザから仕入れてそれを摘発するという極端すぎるマッチポンプ

そんな感じで、完全にエンターテイメントとして間口が開かれた作品なので安心してゲラゲラ笑えるという点も本作の魅力です。あと無闇やたらにエロいシーンが沢山用意されていたのも、作品に合ってて大変よろしかったと思います!いや、本当に!

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain一転して揺さぶられる倫理観。笑い事じゃ済ましてくれない。

上記のように、諸星があまりにも一心不乱に頑張るもんだから観ている我々も全力で応援したくなります。そして、そもそも直球新米警官がヤクザの世界でのし上がっていく様自体が楽しくて楽しくて、一言にまとめると「いいぞもっとやれ」といったテンションで観ることになるのです。しかし、本作はそのままのテンションで「あーー、楽しかった!!!」と我々をおうちに帰してはくれません。(この最終的なテイストの差がウルフオブとの違いかなとも思います。)

マッチポンプに無理が生じてチーム内に軋轢が生じたり、心身ともに落ちぶれていったりと、中盤からは見ていて辛いシーンが立て続けに入ります。今までヘラヘラと笑いながら観ていたことが嘘のように、諸星が及んでいた行為に恐ろしさを感じます。これがまたすごい。あんなにワクワクしながら観ていたのに、最高級の後味悪さを残した幕引きが用意されております。是非ご覧ください。

f:id:ma2baga2:20160717214338p:plain

徐々に、頭空っぽで笑いながら観ているだけでは済ましてくれなくなってゆきます。

少しだけ文句を言うならば、中盤以降はどうしても冗長に感じる節がありました。作品の質が高いから全然苦痛ではないのですが、やはりそもそも135分という長めの上映時間はそれだけで欠点になり得るというか、うーーーん難しいところ…。(長い映画はそれだけで欠点というのが僕の勝手な持論なのです。)

とはいえ、少なくとも退屈することは一切ないと思うので、爆笑必至の導入部からドン引きするようなラストまで、超、オススメです。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plainその他、細かな感想というか、駄文。

オープニング以降ちょいちょい流れる本作のテーマソング、めっちゃいいですよね。パラパラパラパラパララララン♪ってやつ(全然伝わらない。)あれ本当に良いな~~~~脳内でずっと流れてます。サントラ欲しいけど売ってるのでしょうか。

あと、タイトルが「奴」じゃなくて「奴ら」なのは、端から諸星の悪行にスポットライトを当てた作品ではなく、そもそも組織的・システム的な悪を指した「奴ら」ということなんだなぁ~…なんてことも本編見終えてからだと納得できたりして、それもまた良いですね。

f:id:ma2baga2:20160717215841p:plain

日本で一番悪い奴ら!!!!!!!

後半に諸星が新米警官に対し「何故警察になったのか」を問うシーンがありますが、新米警官の真面目な答えに対してピエール瀧のように「あーいいからいいから、そういうの。」とあしらう訳ではなく、押し黙っていたのが印象的でしたね。彼はあの答えに何を思ったんでしょうか。昔の自分に思いを馳せていたのでしょうか。

他には、夕張で不良息子に背負投げされるシーンがあるけれど、諸星を俯瞰的なカメラショットで撮っているあの絵面、無残に横たわる諸星と雪に残った足跡の関係が「紆余曲折した軌跡の末、こんな惨めな姿になっているという人生全体の俯瞰図」にもなっているように感じて、心にズーンと来ましたね……。流石に深読みすぎでしょうか。ともかく、あのみじめすぎるシーン大好きです。

とにかく観終えてから思い出すシーンが沢山ある映画です。ゲラゲラ笑えてめっちゃ楽しいのにクッソ後味悪い!最高の映画だと思いました。オススメでございます。

おわり


クリーピー 偽りの隣人 感想

うーーーーん。いまいちノリきれなかった……悲しい……。悪い映画では無かったけど僕はノリきれませんでした……。

f:id:ma2baga2:20160717093117p:plain

本作のネタバレ:核心を避けています。細かな点には触れます。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain香川照之の怪演。「嫌な感じ」持続タイム世界ベスト級。

良いところを先に述べますと、まずは何より役者陣の怪演ですね~~~。特に西田(香川照之)、もう、気持ち悪!!!!なにこれ、気持ち悪!!!

西田登場シーンの第一印象は「なんか感じ悪い人だな~~」程度の不快感なんですが、どうも会話を重ねていくごとに不気味さが徐々に増していき、西田と接することに対して身の危険さえ感じるようになってくる。なんとも噛み合わない。気味が悪くて仕方ない。

f:id:ma2baga2:20160717103447p:plain

会話してるのに、会話になってない。意味はわかるのに、意味はわからない。気持ち悪い!

で、何が嫌かって、狂いっぷりが一定ならば単なる狂人と認識して対策しようがあるのだけれども、話が案外通じる瞬間というのもありまして、これが本当に嫌なんですね~~。「あれ?この人、実は良い人?」なーんて、うっかり接近を許してしまう。このように狂人度合いに波があるから、なかなか警戒心の閾値を超えない。そして本当に「この人ヤバい!」と思った頃にはもう戻れないところに来てしまっている……うぎゃーー気持ち悪い!!!

いやもう、さっきから気持ち悪い気持ち悪い連呼してるけど、この映画本当に気持ち悪いんですよ。ずっと気味が悪くて嫌~~~な感じ!色彩の妙なのか撮り方が良いのか、とにかく何もかもが不穏。普通の民家を撮っても気味悪い!現代的なキャンパスを撮っても気味悪い!ずーーーっと持続する嫌~~~な感じ!!

この「うわ~~~気味悪ぃ~~~」「人間って気持ち悪い~~~」という部分を堪能できるだけでも、この映画を観て損にはならないと思います。

f:id:ma2baga2:20160717121057p:plain

西田だけでなく、実は高倉も十分すぎるほど狂ってて、それもまたよし。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain後半から大失速。無視しきれないツッコミどころがノイズに。

上記のとおり、前半の不穏な感じは非常に楽しめました。しかしながら後半へ進むに連れて引っかかる部分、ノリきれない部分が増えてゆき、最終的に置いてけぼり感が残ったまま幕を閉じることになりました。

特に気になった部分として、端的に言って日本警察が無能すぎるという点。例えば「私、まだ警察呼んでません!」のくだりで連行されていく高倉のシークエンスなんかは、アホらしすぎて最早コントを見てる気持ちになり思わず笑ってしまいました。あれだけお膳立てされた不穏感が後半へ進むにつれススススッ……と瞬時に冷めてゆくのを感じました。

とはいえ、周囲の評判を見る限りこういった部分に引っかかってる方々は少数なようで、上記の不満はもはや個人的な相性の問題なのかもしれません。本作にかかわらず「気になってノイズになるポイント」と「全く気にならないポイント」というのは人それぞれであり、上で主張した内容に対して「いやいやフィクションなんだからそんなこと気にすんなよ」で流せる大半の方はこの映画を楽しめてラッキーだし、僕はたまたまそれが消化しきれず興が冷めてしまったから運が悪かった。本作のシナリオが全体通してあまりにガバガバなのだとすればそれは作品の落ち度かもしれませんが、今回はどうやらそうではない気もします。

映画「セッション」で「こんなのジャズではない」と激昂した菊地成孔氏のように、無視できないツボにハマってしまったらこれはもう仕方ない。好きになれないのは仕方ない。ここは個人ブログなので好き勝手に書かせていただきますが、「不安感を煽る前半パートは楽しめたものの、終盤へ進むにつれて次第にどうでもよくなってきた」というのが個人的なまとめです。楽しめなくて残念!

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain細かな点で良かったところは他にもあった。

脇役っちゃ脇役ですが、東出昌大くんが良かったと思います。彼といえば未だに「桐島部活やめるってよ」のイメージが強いですが、今や名俳優の地位を不動のものにしていて感心します。

f:id:ma2baga2:20160717122538p:plain

イケメンすぎる~~~憎い~~~~(なんなんだ。)

あと、物語終盤に用意された、西田と高倉が対峙するシーンもハラハラして良かったですね。本作の最も冒頭のシーンで、高倉は「サイコパスをたしなめる」ことに失敗した瞬間を観客は一度目の当たりにしているので、西田へ話術を駆使するシーンが余計にスリリングになっていて良かったと思います。

あと、西田(香川照之)の「こいつ狂ってんなぁ…」とか「まだまだいくぞぉ」とか、狂気的すぎて逆に笑っちゃうセリフとかも頭おかしくて良かったと思います。

前半よかったのになーーーーーノイズが増えてきて、興味関心が持続しなかったなーーーーーー惜しい、惜しいです。楽しめなくてすみませんでした(?)。 おわり