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映画おじさんの絶品クリームシチュー

謎テンションで新作映画の感想を書きます。

SCOOP! 感想

同監督の前作「バクマン。」が良かったので、初日に観てきました。

先に言い切っておきますが、すごい良かったです!!

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本記事のネタバレ:ストーリーのネタバレは避けつつ、細かなシーンには触れます。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 和製バディムービー。二人の「相棒感」を観てるだけで幸せ。

まず特筆すべきは主人公、静(福山雅治)とパートナー野火(二階堂ふみ)の「相棒感」がめちゃくちゃ良かったということ!!

極論言ってしまうと、バディ・ムービーはここさえ良けりゃ大合格だと思ってます。この映画は、二人のタッグがバッチリでした。バッチリだったんです!!!

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もうこの二人が一緒に行動してるだけで幸せになってくる…最高……。

気性の荒いベテランとぺーぺーの新人がコンビを組んで「なんで俺がこんなクソ素人と!」「なんで私がこんな陰険な上司と!」といがみ合いながら仕事する。そしていざこざを乗り越えていくうちに絆が生まれ、いつしか最高のパートナーに。…これだけ聞くと「ああ、またそのパターンね。」って感じですけども、その王道をバッシィイイイイ!!!!と見事にはめると、こーーーんなに気持ちいいんですね……。とにかくこの「いがみ合い」→「一悶着」→「二人で解決」→「意気投合」→「どんどん成長!」という流れがポンポンポンポンッと巧みに魅せきってくれるので、観てるこっちも無条件に気持ちよくなっちゃうんです。っていうかそもそも僕らはこれを観にきたわけです。その期待に応えてくれたわけです。最高じゃないですか。もうこれだけでこの映画、観てよかった!と言い切れます。

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バディ・ムービーの最たる面白みを誠実に踏襲しているのが嬉しいところ。

序盤の静(福山雅治)が編集部で揉めてるシーンや、何かにつけてエロい話ばかりするシーンを観ていた頃は、正直ちょっと薄ら寒く思えてしまい心配しましたが、話が進むに連れてどんどん静という人物に惹かれてしまいました。野火ちゃん(二階堂ふみ)も完璧にハマってましたね。何もわからず入社しちゃいました的なアホっぽさも、一度決めたら行動あるのみな破天荒さも、二階堂ふみさんは全て持ってて良かったです。口を尖らせながら文句言うあの感じがいいんですよね。「最低ですよね。」って、言われたいですね。(本当に最低ですね。)

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain やりたい放題なギャグ要素が、いい感じに功を奏している。

本作はぶっ飛んだギャグシーンが多く存在しますが、この「お前ら無茶苦茶やないか」という笑いが作品全体のバランスを絶妙に保っておりまして。実のところ本作、演出やストーリーに関して「普通そうはならんでしょ…」と思えてしまう点があることは否めません。しかしながら前述したギャグ効果で、ノイズとなり得る疑問や違和感を全てぶっ飛ばしてくれるんですよ。

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納得しづらい展開も、勢いで全部もっていくので一周回って清々しいという妙。

例えば連続殺人事件の顔をパパラッチしてやる!というシークエンスに関して、静と野火が企てた作戦、取った行動というのははっきり言って杜撰の一言で、あんなもの端から成功するわけがないんですよね。しかしながら前述した「そうはならんだろ…」という気持ちが、ギャグ調の演出により「そんなんアリかよ!!」へと還元されてしまい、もうこれはこれで楽しめちゃうんですよね。あっぱれです。

あとは、物語の前半でカーチェイスシーンが用意されていて、「カーチェイス自体が食傷気味なのに今更邦画でやられてもなぁ…」と思いながら観ていたら、ちゃんと爆笑してしまう落とし所が用意されていたりとか。とにかくいちいち笑いでぶっ飛ばしてくるスタンスが楽しかったです。

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 勢いだけでは多い隠せないノイズも少々。

まぁ、とはいえ警察無能すぎ問題はどうしてもついて回りました。クリーピーの感想でも同じことを申し上げた気がしますが、物語の辻褄、演出の都合にあわせて警察が下手を打つのが気になりました。

本作は警察が総動員されるシーンが2つ用意されているのですが、まだ1つ目は先述のギャグタッチな演出でからくもカバーしているとして、2つ目に関しては最悪でした。

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警察が「雑魚モブキャラ」としての役割しか担っていなかった。

それに加えて、そもそも終盤に用意されているある展開について、実は全体的にノリきれず「静の行動は、もっと他にやりようがあったんじゃないの。」と思ってしまったのですよね。

よくよく考えるとあの展開って、おとなしく通報していたとしても最終的にあの人に対しての結果は変わってなくない?とか思ってしまいまして。だから結局、静は何がしたかったのか、どういう結末にしたくてあの行動を取ったのか、よくわからなかったんですよね。(ネタバレ避けるために指示語多用したら意味わかりませんね……)

むしろ、「この映画をこういう結末にしたい」というシナリオ都合ありきで静を行動させてるように映ってしまい、彼の行動原理が汲み取りにくくなったのではないかと思います。…まあ、これは単に僕が好みじゃなかった点を理屈っぽく批判してるだけかもしれませんね。その後からラストまでは大好きです。

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 「この仕事、ほんっと最高ですね~~~。」

パパラッチという職業を静は「ゴキブリかドブネズミ以下」と称していましたが、メキメキと上達して仕事をこなす二人を観ていると、倫理観はさておき僕たちは少なからず魅力的に思えたはずです。これって結局どの仕事にも通じるところがあって、「努力して」「工夫して」「上達して」「成し遂げる」というプロセスは何物にも代えがたいほど魅力的で、楽しいんですよね。そう、楽しいんですよ。

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二人がめっちゃ楽しそうに仕事するんですよ!!こっちも楽しくなってくる!!

自分語りで恐縮ですが僕は社会人なりたての頃は接客の仕事をしてまして、個人別の販売数スタッフで競うような職場だったんですよ。で、入社当初は「なんだこのクソみたいな仕事?」と思いながら働いていたのですが、半年くらいしたらお客様の風貌や会話の端から最適な営業トークをみつけて、バッシバシ売りまくるようになったんですよ。あの時めっちゃ思いましたね。「物を売るの、楽しい~~~~~~~!!!!!!」って。

今は社内SEに転身したのですが、たまに昔を振り返って思います。「バチバチの接客業で売り散らかしてたあの頃の俺、輝いてたな…」と。(あ、このくだりクソつまんねえから忘れていただいて結構です。)

ともかく、仕事ってこういうとこあるよなーーーーって思いながら観てました。 この映画から「働く喜び」を汲み取らせようなんて制作サイドは意図してないでしょうけども。

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plainまとめると、この映画、めちゃくちゃ良かった。

なんか途中で文句も言っちゃいましたけど、この映画大好きです。「バクマン。」に続いて大根仁監督に寄せる信頼度が確実なものとなる一本でございました。

主人公二人以外に触れませんでしたが、周囲を固める登場人物もおしなべて素晴らしく、特にリリー・フランキーが良かったですね。もう「お手の物」としか言いようがない。初対面の人と対峙したときとりあえず匂いを嗅ぐところとか最高。(?)

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こういう役やらせたら右に出るものはいない。

思い出して笑っちゃうようなシーンも沢山ありますね。個人的にお気に入りなのは「吊り橋効果だーーーー!!」って叫びながら開き直るシーン。

満を持しての(?)ベッドシーンはとても美しくてホロリと来てしまいましたが、ずっと下着つけながらの行為だったのがどうしても不自然にみえてしまい、残念でした。いや、別に裸が見たかったから残念とかじゃなくて!客観的に不自然だったな~って話!!

細かい話で言えば最初と最後のショットがリンクしてましたが、あれはドローン撮影ですかね?とても印象的でした。そしてそして、何より愛を感じるエンディング!!!「バクマン。」ほどサプライズ感は無かったけれど、あの余韻に対してあれをバックに流れるクレジット、最高でしょ…。サービス精神旺盛な監督だなと思いました!!

いやーーーーーー、監督決め打ちで観に行くのも良いものですね。2016年の邦画祭りは最後まで続きそうです。 

 

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そういや居酒屋で静と別れたあとの定子(吉田羊)に絡んでたおっさん、後で出てくると思ったらあれだけで笑った。 

おわり

 

聲の形 感想

とっても前向きな映画に感じられて、非常に嬉しかったです。

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原作の知識:かなり以前に読みまして、あえて再読しない状態で劇場に足を運びました。

本記事のネタバレ:予告以上のネタバレはしませんが、細かな点には触れます。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain  「元気を貰える、ポジティブな映画」と受け取った。

僕が原作を初めて読んだ時の第一印象は「鬱々とした漫画」というのが正直なところで、素敵な作品だとは思ったものの読後は胸の苦しさが残りました。しかしながら本作は視聴後にとってもポジティブな感情が湧いてきたのです。どちらが良い悪いなんて話は結局のところ好みの問題だと思いますが(「セブン」は最悪の後味だけど最高の作品ですし。)、こと本作「聲の形」として、この肯定的なバランスで物語を描いたのは大、大、大成功だと思うんですよ…!

なんだろう。観終えた後、すごく嬉しかったんです。観に来て良かったーーー!僕も頑張ろう!!って、なれたんですねーーーー!それが嬉しかったんですよ!!

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見方は人それぞれでしょうが、「鬱アニメ」では無いですよね。

例えば原作で言うところの第1巻、小学生時代を描くエピソードは、直視できないほど心をえぐられるような物語なんですよね。で、映画だとどう描かれていたのかというと、よりフラットな捉え方をされているのような印象を受けました。これがとても良かった。

…とは言っても、彼らがとる行動や起こる事象それ自体に改変は施されておらず、話の重さは変わっていない。要は見せ方の工夫なんですよね。スタイリッシュな演出というと語弊まみれですが、画があっさりしていて、変に強調しない。くどくどしない。

本作の登場人物に対して受ける印象は、人により千差万別だと思います。好意もあれば悪意もあるはずです。しかしあまりに偏った視点で彼らを見続けると、恐らく物語自体も歪なものになってしまう。だからこそ、こうしたフラットさが、我々観客の心持ちに対して非常に活きていると思うのです。原作では気づかなかった「こいつ、こんな奴だったんだな~。」という発見もありました。

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主人公、石田将也。彼の内面・人間性を映画で改めて再認識することが出来ました。

また先述した「前向きさ」という点において、山田監督曰く、例えば「黄緑色のような心の和らぐ色をあえて画面に増やす」等、無意識的な部分に至るまで細やかな工夫を凝らしているそうです。つまりネガティブの排除は意図的だということですが、まさしくその技術が、その手段が、ビシッと意図通りに作用して、この作品を良きものにしていると思いました!!あっぱれや~~~~~~。

この物語は「障碍」よりも「コミュニケーション」がテーマのお話なので、変に余計なバイアスがかからないように細心の注意を払ってるでしょうし、とにかく拘りに拘りを重ねたことがよくわかる作品です。だからこそ僕らは、気軽に、自然体で享受できるのだと思います。まったく懐の深い作品です。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain的確な演出。そして「映画だから味わえる体験」!!

前トピックでも申し上げました通り、演出の意図がすごく的確なんですよね。

例えば、西宮さんは手話で話すので、内容が我々にもわかるように手話を追ってキャラクターが声に出してくれます。しかしある一つの見せ場シーンだけは、声無しで手話単体の演出になります。でもその手話の内容は、僕らもよく知ってるポーズだからちゃんと意味も理解できて、それが刺さる刺さる…!なんて粋な演出……!! とか。

はたまた、ある言葉の手話が繰り返し使われることで僕らもその手話の意味を覚え、同じようなシーンで「この手話がまた登場するはずだ」と思わせておきつつ、しかし西宮さんは違う手の形をする。「あれ?」と無意識レベルで違和感を感じさせつつ、それが次の展開の布石になってる…とか。

とかく、何かにつけてめっちゃスマートに魅せてくれるから文句のつけようがない。

(あれから原作を読み直してないので、この辺りが原作準拠だったらすみません。)

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特にとあるシーンなんかは、作品を「映画化」することにめちゃくちゃ意義が感じられる仕上がりで、いわゆる5億点、良すぎ帝国でございました。僕が劇場に足を運んで映画を観る理由って、こういう体験をするためなんだよなぁ…と、再認識しました。

こういうシーンを一つ観れただけでも「映画を観にきてよかった!!!」って思えるんですよね。具体的にどのシーンか事前にお伝えすると、逆に身構えて観てしまうことになり第一印象を損なうと思うので、こんな書き方しかできませんが…。是非、劇場でみてほしいと思います。

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain せっかくの京アニ、萌豚らしくキャラクターを語ろうか。

本トピックは予告編に無いネタバレを含みます。(公式サイトには載っている程度の情報ですが。)

あのさ~~~~~、植野直花ちゃんってキャラクターこんなに可愛い子でしたっけ??????びっっくりした……原作読んだ時にノーマークだったキャラクターがめちゃくちゃ可愛い可愛い……登場当初は「なんだこのクソ女は」って感じの子なんですけど(言い過ぎ)、よくよく観ていくと彼女は彼女なりの理があって、彼女の苦悩も垣間見えて、そこにグッときた……とかもありつつやっぱ大前提としてルックスが好みすぎるよね~~~(なんなんだ。)

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事なかれ主義の権化みたいな西宮さんとは対極をなす直情的女子高生。水と油。(可愛い。)

あと西宮硝子ちゃんのキャラデザはフワフワ感がすごい。フワフワ。フワフワしてらっしゃる。このフワフワ感は劇場で味わわねば。(もうこの辺から適当なことしか言ってないのでブラウザ閉じて大丈夫ですよ~~~。)

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そして大本命、結弦ちゃんの話をしましょう!!お待たせしました(?)もうこの映画、結弦ちゃんの映画でしょ。(暴論)僕はこんな妹が欲しかった。MVPは結弦ちゃんに決定です。どうぞよろしくお願いします。

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何卒よろしくお願いいたします~~~~~~(?)

結弦ちゃんの何がそんなに良かったのか考えてみたのですが、まず将也に「なつく」感じが良かったのだと思います。「親しくなる」でも「好意を持つ」でもなく、なつくんですよね。その距離感が年相応でまず可愛いのと、それでいて彼女は「自分がしっかりしなきゃ」って常に思ってるんですよね。でも当然、もろくて壊れやすい。

将也はそういうとこをちゃんと支えてあげるし、結弦は結弦で、将也のダメな部分をフォローしてくれてる。そのちぐはぐなコンビ感もいい。本作のベストキャラクターは結弦ちゃんだと思います。

あとはマリアね。常に「にっこーーーー」ってしてるの癒やされるね。小動物か。

 

てなわけで、

日本アニメーション映画立て続けにビッグな作品がきてクラクラしております。

是非、劇場でご覧いただきたいと思いました。

 

おわり。

君の名は。 感想

何度も何度も、何度も何度も、胸の中で反芻してます。

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本作のネタバレ:核心を突くほどネタバレします。視聴してからお読みください。

また未視聴の方は、公式サイトや予告の内容も観ないで行くことを個人的には推奨します。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain とりあえず言いたいこと言わせてよのコーナー。

先ずはじめに、実は視聴直後の感想としては「惜しい部分もあったけど、全体的に良かったなあ。」といった程度のテンションで、世間一般の爆発的な熱量、社会現象とまで化したあの絶賛とは少し身を引いた感想を抱いておりました。

しかし、しかしですね。サントラを買い、物語を振り返っていると、どんどんどんどん思い入れが強くなってしまい、今や瀧くんと三葉ちゃんのことを考えない日は無いほどまでに愛しく思うようになってしまいました。本作のように、ごくごく稀に「観終えてしばらく経ってから、どんどん好きになる」作品というものが以前にもありましたが、ここまで加速度的に自己評価が上方修正されることは珍しかったです。もう、なんかもう、大好き・・・大好きになってしまいました。君の名は。大好きです……。

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三葉ちゃんが愛しくて仕方ない。三葉ちゃんーーーーー。

演出がどうとか、脚本がどうとか、役者の演技がどうとか、そうやって僕は映画を観ているんだと思います。その見方が悪いとはあまり思いません。しかしながら、この作品にだけ関して言えば、もう作品という枠を超えて、瀧くんが、三葉ちゃんが、好きで仕方なくなってしまったんだと思います。二人のことをもっと観続けていたかったのです。107分の間だけしか二人に会えないことが辛くて、今でも時々二人のことを考えてしまうのだと思います。大の大人が今更現実と虚構を倒錯するなんて大変気持ち悪くお恥ずかしい限りですが、彼らにもう一度会いたい。彼らが幸せに暮らしていることを確認したい。最早、演出や構成の不満なんてぶっ飛んだ感情だけが残っています。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain お前ら可愛すぎか!二人の距離が縮まるシークエンスがたまらない。

冒頭、三葉ちゃんが住まう町のバックグラウンド(すっごい田舎!とか、お家柄窮屈な立場にいる!とか)を説明するような日常シーンから始まるのですが、かなりスローテンポで丁寧に描かれるんですね。これ以上間延びしたら退屈してしまうのではないかと不安になるも、その絶妙な間で、「何かおかしなことが起こっているぞ?」ということが徐々に明らかになる…。そしてそれが「確信(=私達、入れ替わってる!!)」になった時にガツーーン!とRADWIMPSの「前前前世」が流れ始める!!!そして、二人の距離感も、物語全体も、一気に加速する!! ドカーーーン!良すぎ帝国建国!建国されましたーーー!!おめでとうございます!(あ、僕の特有の褒め言葉です。)

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彼らが急速に親密になってゆくのが手に取るように分かるシークエンス。最高。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 切に願う、「頼むお前ら二人とも幸せになってくれ。」

その後も良すぎ帝国は順調に建国されていきますが、やはり誰そ彼時に二人がようやく会えたシーンは極上でしたよね!!!

そもそも二人には「距離の壁」があったわけですよね。高校生からしたら十分すぎるほど高い壁です。それでも、どうしても会いたいからと、ついに行動へ移した瀧くん(三葉ちゃん)を襲う「時間の壁」。これが発覚したときの、あの絶望感。もう人間の力ではどうすることもできない壁。そしてそして、それらに屈さず、ようやく二人が出会えたシーンがあの"誰そ彼時"のシーンなわけですよね!!!故にもう観てるこっちは「嗚呼、やっと、やっと、やっと会えたね……!!」ってそれだけで感極まって泣き出しそうになってしまうんですよ。

しかしこの時の二人ときたら「あ、あの口噛み酒を飲んだの!?この変態!!」「な、なんでだよ!」「そういえば私の胸も触ったことあるでしょ!!妹が見てたんやからね!」「悪かったって!い、一回だけだよ…」「……そうなん?…って回数の問題じゃないわ!!」

もうこいつらは本当にもうーーーもうもうもう!!!会いたくて会いたくて仕方なかった二人の対面中に、くっだらないことで喧嘩してるんですね。演出的には二人で「会いたかった…」って泣きながら抱きしめ合うシーンでも別に良かったと思います。でもこっちの方がよほど二人にとって「らしい」というか、君たちはこんな時でも変わらないんだなって思えて、ホッとして、なんかそれさえも泣けてきて、余計に「本当に会えて良かったね」って思えて、愛しくて、また泣ける。二人が愛しくて仕方ない。

そこからの容赦ない展開なんかはもう胸が一杯になって何も言えませんでした。

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そしてやるべき事はまだ残っているという残酷さ。ハッピーエンドが見えない。

抱きしめたりキスしたり、そういう直接的なシーンって結局最後の最後まで無いんですよね。ハッピーエンドなのに切なさが残る理由はそこにもある気もします。僕はこの二人にどうしても幸せになってほしい。とびきり幸せな姿を見せて早く安心させてほしい。早い話が、幕引きの後に今までの分をまとめて存分にイチャイチャしてほしいです(どーん)。こうしてオタクは、二次創作を漁ることになるんじゃないか………。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 新海誠の描きたかったもの、僕の観たかったもの。

このトピックでは冒頭で「惜しい部分もある」と申し上げました点について、具体的に記そうと思います。

本作には「糸守町に隕石が落下することを事前に知った瀧くんが、皆を救うために避難勧告を周知しようとする」という、ロマンチックからケイパーものへ一転するシーンがあります。(ケイパーというと流石に語弊が強いですが、少数のチームが町全体に対して知恵と工夫を武器に何かを成し遂げようとする様を表現したかった。)放送ジャックや山火事の偽造など、この作戦を瀧くんが画策するシーンで僕は俄然ワクワクしました。

しかし結論から申し上げて「糸守町の住人が助かった過程」はバッサリと省略されておりました。恐らく最終的には三葉が町長である父親の説得に成功したということなのでしょうけれども、説得シーンさえも丸々カットされているため流石に肩透かしです。ケイパー要素が介入したのはほんの最初だけで、映画で描かれているのは「皆が助かった」という結果そのものだけです。その点が残念で仕方ありませんでした。

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「説明不足」については各所を観ても賛否両論な様子。

ですがそもそも新海誠という監督はそんなものに興味のない作家さんなのかな、とも解釈しました。実は過去作品を一つも観たことが無いのでなんとも言えませんが、表現したい内容物がかなりハッキリされている方で、それ以外のことを大胆に排除しているのが本作だとするならば、それはもう仕方ないことだと思います。

彼の描きたいものと、僕の観たかった内容が元より違っていたならば、この指摘はナンセンスなのかもしれません。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain その他、雑多に熱量込めて話そうのコーナー。

細かいところからいくと、ユキちゃん先生の板書がめっちゃキレイな楷書体で惚れそうになりましたね!字がきれいな女性がタイプなのでたまりませんでした!(なんだその限定的な好みは。)瀧くんが普段つるんでる友人(司と真太)も良かったですね。特に司くんの女性慣れした感じの佇まいがまた良い。美人な奥寺先輩にも普段通りなところとか、あとババ抜きしてたシーン良かったよね!!!それと同じくらい田舎組も良かった。三葉とテッシーとさやかちゃんの淡い三角関係、たまらん…。

あとあとあと、やっぱり音楽の功績がめちゃくちゃ大きいですよね!!!どの曲も聴き直すと情景が浮かんできて胸が締め付けられる。前述の通り前前前世も最高だけどやっぱ「スパークル」と「なんでもないや」の二強かなーーーー。

で、ラストのラストなんだけど、出来れば思春期の頃にくっついてほしかったーーーー!!!やっぱ大人になってからの恋と未成年の恋は全然違うと思うので、もっともっと甘酸っぱい思いをして、甘々な思いもして、二人には愛を育んで貰いたかった…。まあ、お互いに誰とも付き合わないままここまで来ただろうから、今後も手をつなぐのさえ恥ずかしがったり、「中学生かよ!」ってツッコミ入れたくなるようなうぶさを見せてくれそうだし、それも良いと言えば良いのか…?うーん。でもやっぱ高校の頃から付き合ってほしかったな。

二人にはドン引きするくらいデレデレになってほしかった。どっちが甘えるのかな~?瀧くんだろうな。デレデレすぎて三葉を困らせてくれーーーーそして「もうーーくっつきすぎやよーー!!」とか言われてくれーーーーーーーー頼むーーーーーーーーーー!!!!

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頼むーーーーーーーーーーーーーー!!!(画像は無関係です。)

この映画、酸いも甘いも噛み分ける年齢になってから観た故にこの程度で済んでるけど(それでもかなり重症です)、こんなもん中高生の多感なティーンエイジャーが観たらありとあらゆる感情が化学反応と大爆発を起こして、もうどうしようもなくなるんじゃないですか!? 居ても立っても居られなくなって、片想いの子へ告白しちゃうんじゃないですか! 危険だ~~それは危険だ~~~。

おわり。

 

記事紹介のコーナー。

司くんの件、不覚にも初見では気づかなかったです。やりおるの~~。

 

スーサイド・スクワッド 感想

かったるい の一言に尽きる映画でした。

かなり酷いことを言いますので、この映画が好きな方は閲覧をお控えください。

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本作のネタバレ:観なくていいよという意味も込めてネタバレ全開です。

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 「よくもここまで退屈に出来ましたね賞」堂々の受賞

いやーーーーーーー怒りのあまり衝動的に更新しちゃいました。ちきしょう。なんだこの映画。もうダメだ…ツラすぎる。バットマンVSスーパーマンのときも思ったけど、「多少期待はずれだとしても、駄作とまではいかないだろう」という想定を清々しく裏切るのやめようぜ。「悪役たちが主役側にまわって世界を救う!?」ってもう、その時点で誰が聴いてもワクワクする設定じゃないですか。制作規模やテーマ性からして一定の面白さは担保されてるはずと思うじゃないですか。それをよくもまぁ、ここまで清々しく裏切れるものだなあ…思わず感心してしまいました。苦痛すぎて、IMAX3Dだったのに途中から3Dメガネ外しながら観てました。

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こんなに楽しそうな絵面から、こんな退屈な映像が生まれるもんなんですね…。

ネタバレ全開になりますが、本作がどうしてここまで退屈なのか、頑張って整理してみたので興味があれば読んでください。そして「期待はしないで観てみようかな~」なんて思っちゃっているその甘すぎる考えを是非改める機会にしてください。これ以上僕のような被害者を出してはいけない。退屈だった、退屈だった。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain テンポが悪い、説明的すぎる、そして次第にどうでもよくなる。

まず冒頭について、悪役たちを利用して精鋭部隊を編成しましょという政府の企みから話が始まるんですが、もうそこからしてマズくてですね。各人がどんな悪役かをちんたらちんたらと一人ひとり説明していくんですよ。まるで「映像の箇条書き」とでも言いたくなるように説明を一つ一つダラダラダラダラダラ、なんかもう6,7人くらいやってなかった?次はこの人、次はこの人、次はこの人、次はこの人……って延々。3人目くらいで「いやもう誰でもええわ……」ってなるんですよ。こんなアホな見せ方ある???こういうのは最初サラっと流して途中のシーンなんかで見せ場作ってやればいいでしょうが。しかも尺をさいてる割に説明シーンも大して魅力的じゃないし、この時点でゲンナリですよ。それがやっっっっと終わった…と思ったら今度は囚人たちへの部隊勧誘をまたもや各人に対してやりやがる。次はこの人、次はこの人…地獄が続く。そんなところで時間を取るなよ!!僕らが観たいのはその先でしょうが。

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あ、急に褒めますけど、役者陣の演技はめっちゃ良かったです……。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 悪党のやりたい放題感 皆無。むしろ真面目に服従してらっしゃる。

それらがようやく終わって悪党チームが結成されるわけですが、この悪党チームを雇っている「政府」ってのがとにかく小悪党臭さ満載な組織で。そんな奴らが悪党を脅して服従させてるもんだから、さっきまでの「この悪党達はヤバい奴らだぜ」という説明シークエンスが否定されていくのです。もう全然ヤバさが伝わってこない。長ったらしくベラベラと説明してたことなんかより、「三下小物政府に脅されて全員がおとなしく屈してる」という事実一つのほうがよほど説得力が上回っていました。

だいたい予告編とかでもそうだけど、「こいつらイカれてやがる…」みたいな奴らがチームになっちゃうところにワクワク要素があったのに、それが始まる前から弱み握られておとなしく命令に従っちゃってる様をまざまざ見せつけられるなんて、この時点で今回のコンセプトは破綻だよ!解散!解散でーーーす!!!おつかれさま!!!

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サイコな悪役集団なのになんやかんやで三下に服従するからイライラ。

ともかくこの映画、コンセプトからして僕が期待していたものと違うのです。本作にフリーダムさは皆無です。むしろ皆、真面目なんです。その辺の主人公より必死に我慢しながら、耐えて耐えて耐え忍ぶんですよ。葛藤とかもあるんですよ。求めてない!!求めてない……ちくしょう、求めてないんだよ…求めてないんやああああああああああああああああああああ(今日言いたかったことはだいたい言えました。)

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 興味が持てないシナリオに、かったるさだけが蓄積され続ける。

そして悪役精鋭チームが成し遂げるミッション自体もまたショボくて、「政府が兵器として所有していたバケモノに出し抜かれて逃げられちゃったからなんとかして~~~」という話。とにかく政府の小悪党っぽさが半端じゃない。そして、そのミッションに渋々付き合わされる悪党たち。はーーーーーーノレねえ…全然ノレねえ……しょぼいよ。なんとか頑張って規模だけでかくしようとするんですけど、規模の問題じゃないんですよ。人工衛星が爆破されて国中が停電!みたいなシーンを取ってつけたように挟んでるんですけど、そういう問題じゃないんだよ…。規模が増してもショボさは変わらないんだよ……。

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絵面ばかり壮大にしても仕方ないんだよ!!!

あと、ラストバトルに向けて全員が一念発起するシーンが本作にも用意されてるんですが、そこも「とりあえずやりました」って感じでつまらなかったんだよなーーー。それぞれが戦う決意を新たにするシーンって定番じゃないですか。(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーで5人が並んで歩く名シーンなどを想像してください。)本作もそういうシーンが用意されてるのですが、わーわー言いながらも結局なぜ戦う決意をしたのかよくわかんないんですよね。このシーンに限らず、とにかく心情描写に合点がいきづらい。さっきから言ってる通り、全体的に取ってつけたような感じがこびりついている。

 そして極めつけはジョーカーさん雑に扱われすぎ問題。ヒース・レジャーの後継という大役を買って出たのはジャレット・レト。彼の演技は良かったと思います。狂気に満ちていました。しかし如何せん出番がことごとくしょうもない……もったいねえ…なんだこれ……。狂気的な演出ばかりが先行して、実行動としてはジョーカー以外の誰かがやっても別に良いようなことしかしないんです。……ねえ、もうこの映画の話やめて君の名は。の話しない?みつはちゃんの話、しよ????みつはちゃん可愛いよねーーーーーねーーーーー?????

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繰り返しますが、演技は良かったと思います。手に彫ったタトゥーとか気持ち悪くて良かった。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain まとめ:みんなメソメソしてる。

もうそろそろこの結論も食傷気味だけど、要は予告詐欺ですよね…。はい。

蛇足でもう一つダメ出しするなら、戦闘中やピンチな時などに、しょうもないやりとりをする演出って楽しいじゃないですか。(わかりやすく例を挙げるなら、デッドプールが大暴れしながら「そういや家のガスの元栓閉めたっけ?」とか言うやつ。)あの余裕綽々っぽさってたまりませんよね。じゃあ今作はどうかと言うと、なんかそのあたりもうまく作用していない。気の利いたセリフっぽいことは発するんですけど、「お、おう……」となるばかり。意訳が悪いのかなーーー。滑ってるんですよね。

結論としては、DCはもうだめだな…という印象です。このままいくとワンダーウーマン観なくなっちゃいそうだ。はーーーー皆が大暴れするところが観たかったよ。なんだよ、メソメソしてんなよ。皆まじめかよ。とにかく退屈でした。

ウィル・スミスとマーゴット・ロビーのコンビと言えばフォーカスってのがありましたけど、あれも全然ダメでしたね…。何の因果か僕の中にジンクスが出来つつあります。

 

おわり

ファインディング・ドリー

昔書いた記事のお蔵出しです。

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本作のネタバレ:ネタバレなし。細かい内容については触れます。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 主人公ドリーを観ているだけで楽しい!それだけで魅力的!

本作で最も魅力的だったのはドリーというキャラクターそのものでした。

彼女は忘れん坊という言葉だけでは片付けられないほど忘れん坊で、例えるなら「ちょっとニンジン買ってきて!」「ニンジンね!いいよ!で、何買ってくるんだっけ?」とか、そういうレベルの忘れん坊なんですよね。そんなドリーに周囲はイライラしてしまうこともあるけれど、それでも皆ドリーのことが大好きで、何故なら彼女はとても一直線で、忘れん坊ゆえか、誰かを恨むこともない。根に持たない。彼女を通せば全てポジティブに還元されちゃうのです。

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誰とでも友好的に話しかけるドリーを見てるとそれだけで良い気分になる。

彼女はとにかく一直線だから行動力が半端じゃありません。考える前に身体を動かします。だから物語が停滞することもなく、ウジウジ展開が嫌いな僕にとっては大変好みな作りでした。あと、ドリーの周囲をかためるキャラクター達も嫌なやつが居なくて良いですね。みんな愛らしい!ちなみに僕の推しメンはジンベエザメのデスティニーちゃんです。吹き替え版の声もいいのよ。かわいい。

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僕の推しメン(?)です。かわいいです。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 前作に比べるとコメディ寄りすぎか。しかしそれもまたよし。

若干の不満があるならばスケールが小さく感じられた点でしょうか。というより、前作ニモは結末までハラハラでしたが、本作は「割となんとかなりそう」という空気が蔓延しているんですよね。だからハラハラ大冒険というよりはワチャワチャするニモ達を微笑ましく見守る感じでした。水槽から水槽へと軽々移動しているシーンなどから、「水がないと生きていけない」という前提が揺らいでしまっていたせいでしょうか。

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水陸両用のチートキャラ、ハンクの助けもあって、「どうにでもなる感」が出てしまった。笑

とはいえ、なんやかんやで終始しっかり楽しめたので不満はありません。ラストへ進むにつれてリアリティ加減がガバガバになっていくのも僕はギャグとして楽しかったので、肯定できます。障碍や個性に対するメッセージ性について特筆されているブログを多々見受けましたが、逆に、そこに関して響く部分は特に無かったかなーーーピンと来ませんでした。鈍感なんでしょうか。裏を返せば重い題材にもかかわらず尾を引く話にならなかったこと自体も功績と言えるし、爽やかな気持ちで劇場を後にできました。  

ズートピアと肩を並べさせると少々相手が悪い感は否めませんが、娯楽映画として十分に及第点で、適度にワクワク、適度にジーンと、適度に笑えて、見終えたあとに笑顔で「楽しかったね!」と。とても安心できるファミリームービーという意味では、ごちそうさまの一言でございました。ドリー可愛い!

おわり

シン・ゴジラ 感想

まごう事なき「日本映画」。今年の邦画フィーバーはいつまで続くのか。

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本作のネタバレ:核心は避けますがネタバレします。視聴後を推奨。
ゴジラシリーズの知識:今回が完全なる初です。
エヴァンゲリオンの知識:アニメ全話及び序、破、Q 全て各複数回観てます。
 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 知恵と工夫と信念で、ゴジラを迎え撃つ日本映画

本作は舞台が「日本」です。もっと言えば「僕達が生活する日本」です。我々と別の世界線の日本じゃなく、本当に僕らが今生きている「日本」が舞台なのです。これは日本のディザスタームービーなのです。その点にとても感服しました。……いや、こんな言い方をしてもなんのこっちゃ意味不明なので、以下にもう少し詳しく掘り下げます。
 
本作はキャッチフレーズにある通り、ニッポン対ゴジラの映画です。例えばもしも実際に日本へ怪物が現れたら、それに対抗しうるヒーローが現れてやっつけてくれるでしょうか。否、国民が知恵を絞って戦わないといけないんです。アイアンマンが、キャプテンアメリカが、脅威と戦うのではないのです。ましてやシンジくんが頑張るわけでもない。特定の主人公が国の命運を掛けて戦うのではないのです。日本という国が、ゴジラと戦うしか道はないのです。(建てつけ上、長谷川博己が主人公ではありますが、彼も組織の司令塔という立場に過ぎません。) 日本にゴジラが現れたら国民はどうするか。このテーマと真摯に向き合ったのが本作だと思います。

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ヒロイックな演出はあまり用意されておらず、ゾッとするほど淡々とした映画です。

ちなみに舞台が日本ゆえに、普段通勤している街なんかでもゴジラが大暴れするもんだから、「ああーーーー俺の街がーーー!!!」ってな楽しみ方もありました。何なら「今ぼくそこでこの映画みてるんですけどーーー!!!」というシーンもあり、そこは流石に笑ってしまいました。
 
 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 「日本がゴジラと戦う」という本当の意味と向き合う

日本がゴジラと戦うと言っても、実際には様々なしがらみがあります。意思決定機関である政府は国を動かす重い責任がある故に、画期的な最善手よりも堅実な一手こそ重視します。緊急事態でも、議決などのしかるべき「段階」を踏みます。観ていて「今まさに死人が出てるのに、そんなことしてる場合かよ!」と思うと同時に、だけどこれが彼らにとっての「最速」であり「最善」であることも納得できてしまう。
つまりですね。本当に今、我々が生きるこの日本、この東京に、突如見たこともない脅威が現れたら、我々はこうなるんだろうな〜〜〜…というイメージにめちゃくちゃ説得力があるんですよ。政府はまだるっこしい召集や決議を経ないと何も行動に移せない。ゴジラへ立ち向かうためにも、法律との折り合いもつけないといけない。僕は政治や法律に詳しくないので、本作がどれほど現実社会に忠実な描写かは計れませんが、とにかく「そんなことまで気にしてからしか何も動けないのかよ…」というもどかしさがつきまとい、そこが非常に興味深くもあり、楽しかったです。終盤なんかは国際事情まで絡んできてもう、もう…いい加減にしろ!って感じです(褒めてます)

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とにかく専門用語が飛び交い、話し合うシーンの多いこと多いこと。

要するに、この絶妙なフィクションラインの配置が、本作を極上のディザスタームービー足らしめる大きな要因だと思うんですよ。だからドラマチックな人間模様、善や悪、恋愛、ヒロイック、その他諸々が本作ではこれでもかと排除されてるのです。そんなものは不要なのです。この物語は、ゴジラという突如現れた強大な脅威を迎え打った日本という国の話なのだから。
 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 後半以降、バランスが崩れ始める現実と虚構の境

ここから少し不満点なんですが、まず一番初めに言いたいのが…どうしても俺は石原さとみが受け入れられなかったんやうおおおおおおんうおおおおおおおおおん!!!!あいつめっちゃキャラクターキャラクターしてるから、あいつが出てくるたびにフィクションバランスが激崩れするんやああああ!!!この子、英語のネイティヴスピーカーという設定だからカタカナの部分だけやたら発音良くなるんだけど、あの演技とかもあざとすぎて無理やった……石原さとみ支持派の人、ほんますんません……。

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ちょーーーっと、あまりにも浮きすぎていた気がするんですが、いかがか……。

特に後半は石原さとみだけに関わらず、少しずつ現実と虚構のバランスが好みとズレてきたので、僕は前半こそが至高で後へ進むにつれて失速していった印象です。異端児の寄せ集めで対策本部を設立するくだりなんかは日本というよりは少年漫画のチーム戦に近くなってきたし。(それが悪いことかどうかというのは、完全に好みの問題)
とはいえラストバトルは興奮しましたね!!なんやその戦い方!ニヤニヤが止まりませんでした。
 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 「あれが良かった!」「これが良かった!」色々語ろうのコーナー

やっぱゴジラの描写だけでも最高でしたよね〜〜〜。憲法をも脅かす決死の思いで自衛隊の一斉攻撃を許可したのに、かすり傷ひとつ付けられずに作戦失敗に終わったときの絶望感とか良かったよね。
あとはやっぱり口から放射熱線の演出!!あれめっちゃ良かったですよねーーー。グオオオオオオっとビーム状に吐き散らかした後、熱線が弱まってきたらビームが炎になるんですよね。あの凄まじい炎さえも余韻なのかよ……という恐ろしさ。
そしてそして何と言っても進化前のゴジラ!!!気持ち悪すぎる!!!あれ最高。マジ最高。なんであんな気持ち悪いの……。ファーストインプレッション「気持ち悪っ!!!」これがねー、本当にねー、最高。(何回言うねん)
あとはあれですね。総理大臣の絶妙な頼りにならなさ。「苦しいところですが…ここはひとつ…」と承認を迫られるシーンが立て続けに続くところとか、めっちゃ笑いました。シリアスなシーンなのに天丼を被せてくるという名シーンですね。…しかしながら、完全にただのポンコツとして描かれているわけでは決してなくて、トロッコ問題を迫られた時に狼狽せずに「中断だ。」と宣言していたところとかは最高に格好良くて見直しました。頼りない描写はあるにせよ、総理大臣の威厳は保たれていてそれも良かったと思います。
作中エヴァのBGMが流れた件については、「あ、エヴァのBGMだー。」って感じでしたね(頭からっぽおじさん)。まあ雰囲気にはとても合ってたと思います。
あとはあれね。集まったニッチな専門家達の絶妙な気持ち悪さ。発言と発言の間に休符をいれないから聞いててめっちゃ疲れるんですよね。あのコミュニケーション苦手っぽさ最高でしたね。

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この子も気持ち悪くてよかった。(褒めてます)

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あと、こいつも気持ち悪くてよかった!(褒めてます)

 

いやーーーーー。後半にフィクション臭さが充満してしまった部分が本当にもったいないけれど、前半は自分でも驚くほどワクワクしたし、そもそもこうやって良くも悪くも「誰もが熱量を持って語りたくなる!」という部分に庵野秀明イズムを感じずにはいられませんよね。
僕は早くアスカちゃんに会いたいというのに、一向にエヴァ新作の発表が無いことに対するフラストレーションが浄化されてしまったではないか!許さんぞ庵野!!
 
おわり
 

葛城事件 感想

えげつなかった。

ファインディング・ドリーもシング・ストリートも感想溜めたままにしてるけど、さっき観てきた勢いでこちらを先にしたためます。

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ネタバレ:核心を突くネタバレ無し。細かいシーンについては触れます。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plainおよそ2時間、最初から最後まで胸が苦しい。もう許してくれ。

本作は、無差別殺人にて死刑宣告を受けた通り魔の家族にクローズアップした作品なのですが、感想としましてはあまりの陰鬱さに「もう許してくれ」の一言でした。語弊を恐れず言うと、底なしに不愉快な映画です。「観るんじゃなかった」と思う人も居ておかしくないと思います。

ただ、私個人としては、観てよかったかなと思いましたので、その辺を今日は書いていこうと思います。

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一見どこにでも居そうな家族の、絶望的な物語。

本作は「事件後」の話と「事件前」の話が何度も交差する編成をしており、一先ず最初は「事件後」から始まるのですが、我々は冒頭ほんの数分で葛城家の醜さに絶望することとなります。その最たる例が稔(次男・通り魔犯人)への初の面会シーンです。これがもう、心が折れるほど絶望的。よくもそんなガバガバの理論でいけしゃあしゃあとご高説を垂れることが出来るな???と、観ている我々も腸が煮えくり返ります。あまりに言い分が酷すぎて、もはや会話が成立しないんですよね。クリーピーの西田(香川照之)は話が通じそうで通じない気味悪さが魅力的でしたが、こっちは一目見てわかるサイコパスです。

本シーンを我々観客は「無差別殺人犯はやっぱり頭のおかしい人間なのだなあ」という認識によって処理します。つまり、彼の言い分が理解の範疇を超えているから、「こいつは頭がおかしい特殊な奴だ」と、我々の住まう社会とは別枠の人間として捉るんですよ。

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閾値を超えた不愉快さに、思わず「こいつは狂人だから仕方ない」と片付けたくなる。

しかし、しかしです。本作はそれで許してくれないのです。その後描かれる「事件前」シーンの数々が「あいつらは我々の身近にも存在し得るぞ。」と僕たち観客へ語りかけてくるのです。そして「こういう奴、身近にいるかもよ」という説得力は「お前も、お前の家族も、そうなる可能性があるんだぞ」というメッセージ性へと変化してゆくのですよ………これが嫌過ぎる~~~~~~~~~~!!!!むしろ、完全に頭の狂った人間だった方が、まだ良かったと言いたくなる!!!

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain圧倒的な絶望包囲網。頼むもう勘弁してくれ。

脚本もさることながら演出も的確です。各シーンに一縷の望みも与えない、まるで隙間をみっちりと密閉するかのような救いの無さに覆われています。

例えば、作中唯一の憩いのシーンとして、家族がたわいもない雑談をするシーンがあるのですが、このシーンもまた、次のシーンの絶望感を増すために用意されたお膳立てに過ぎなかったりします。ここの演出がもう最低最悪に絶望的(めっちゃ褒めてます。)なので紹介させてください。

そもそも雑談してる内容は取るに足らないちっぽけな話なのですが、他のシーンがあまりに醜い故に、この家族らが普通に会話してるだけで、あったか~~~く映る訳です。「私はちらし寿司だな~」「うな重は普通すぎない?」「じゃあ、カツは?」等と、しょうもない話をしている家族を見て「あああああああああ家族って本来こういうもんだよなあああ、あったけぇなあ、あったけぇなあ……尊いなあ……」と、しみじみ思うわけです。こんなくだらない、当たり前のような日常がこんなにも愛しく思えるなんて……。そんな感情になった矢先、やかんが沸騰するピーーーーーーッ!という音ともに…………ゾワゾワゾワッ!!!!!!ですよ。この演出!!!!まさに、地獄です。(褒めてます)

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この気持をあえて形容するなら……「おぞましい」でしょうか……

あとは最初から最後まで家庭で出てくる食事が全てコンビニ弁当や宅配ピザなどに終始している点や、家庭で唯一まともに思えた長男の保(たもつ)が「やっぱりこいつもこの家族の一員なんだな」と痛感させられる行動をとる瞬間など、やめてやめてやめて!!!と叫びたくなるシーン満載でございます。

あと、すごすぎて言及するの忘れてたけど、役者の演技も半端じゃない!全員マジで超絶すごいですよ!(褒め方適当か。)

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain決して絵空事ではない、明日は我が身という恐怖。

彼らは確かに狂人なのだけど、行動原理が全く理解できないかというとそうではなく、「こういう考えに基づいて動いてるんだろうな」という想像はついちゃうんですよね。彼らには彼らなりの意図を持っている。例えば葛城清(三浦友和演じる、犯人の父)の教育方針にも、行き過ぎた内容は数あれど根底には良かれと信じている正義や信念があるんですよね。その歪みが凄惨な環境を招いてしまった。

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「俺がいったい、何をした!!」 この叫びは彼の根っからの本心なのでしょう。

その証拠に、中華飯店で店員を叱り散らかすシーンも、本人は良かれと思ってるんですよね。店員が去った直後に「ほら、水餃子は美味しいでしょ。」って愛想振りまいてね。今更水餃子の味を楽しめるような空気ちゃうわ!!と言いたくなる。でもそれに清だけは気づいていない。ホラーだわ~~~~~~。だから、突拍子もない話じゃないんですよ。コミュニケーション不足や行き過ぎた信条、そういった重なり合わせによって明日は我が身なんですよ。それがまた怖い。家族ってどういう関係だっけ?地盤がゆるゆるになって怖い怖い。

だからまぁ、最後の最後にとった清の行動はある意味救いだった気もします。「やっぱ俺らはこいつとは違うよ」と、信じられるという救いです。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain映画とは関係ないけどちょっと聞いてよのコーナー

ところでこの映画でハッと閃いたのですが、どうやら僕は「鋭利な凶器で刺すシーン」が死ぬほど苦手なんだなと明確に気が付きました!!!アイアムアヒーローのゴア描写はセーフだったのですが、鋭利な凶器だけは無理らしいです。

だからあの名作「ヒメアノ~ル」も鋭利な凶器が頻出したせいで最高潮のテンションになりきれなかったんですね。いやーーー腑に落ちました。血が怖いというより、刺殺が怖いんだなあ。なんでだろ。先端恐怖症ってわけでもないんだけどな。痛そうだからかな?(適当)

 

ということで葛城事件、よかったです~(台無しか。)