映画おじさんの絶品クリームシチュー

謎テンションで新作映画の感想を書きます。

神様の言うとおり

教室で生徒の顔面がふっとび、血しぶきと一緒に無数の真っ赤なビー玉が散らばる予告のショッキングさに惹かれて少々気になってはいたものの、調べれば調べるほどクソ映画の予感しかせず、まあわざわざ見には行かないだろうなあと思っていたら友人がタダ券をくれたことをキッカケに結局見に行った作品。結論から申し上げてC級映画を楽しむつもりで足を運んだら、思いの外それなりに楽しめたといった印象です。(ちなみに原作漫画は未読なので原作に対して映画がどうこうという形の感想は述べられないし、原作そのまま再現したシーンに対してもとやかく言うかもしれない。)

平凡な日常を送る主人公高畑瞬の通う学校で突如殺人ゲームが行われて、何がなんだかわからないままに次々と生徒が殺されていく学園殺戮路線の映画なんだけれども、C級映画をC級的に楽しむことだけを目的としていたので楽しめました。そうでないと腹が立っていたかもしれません。

この作品の楽しみポイントはあくまで「日常から非日常への転換」なんです。ついさっきまで普通に登校してて、隣のクラスには仲良しだけど恋愛関係ではない幼なじみの女の子がいて、今日も面倒くさいだけの退屈な授業を受けてて…そんな日常を過ごしていた矢先に、死と隣合わせの状況へ無理矢理追い込まれるところに今作の面白みは集約されているわけです。wikiの言葉を引用するならば、”命を懸けた不条理に巻き込まれるサバイバル・シチュエーション・ホラーの流れを汲む作品” と。つまり「なんで俺達がこんな目に!」と思いつつも生きるためには、死に物狂いで動かなければならない!…というところにエンターテイメント要素がある映画なんです。そういう意味でこの漫画実写映画化はリアリティの観点からして大正解だと思う。漫画だといくら死と隣合わせの境地を描いてもそれがイラストという時点で「いやまぁでもこれフィクションだしなあ感」は強まるから、そこを実写化する意味は非常に大きい!予告編も大いに魅力的だった!

にも関わらず。にも、関わらずだよ。あらゆるノイズがそれを邪魔しにかかってくるのが本作なんだよなーーーだからなーーーーそのノイズが生じた時に極端につまらなくなってる。まずは神木隆之介くん演じる、天谷ってキャラが胡散臭すぎる。死の瀬戸際、サバイバルな境地を一人喜び「僕はこんな世界を望んでいたんだ!」とか叫びだすサイコ野郎なんだけど、これがもう胡散臭い。狂った性格で物語を引き立てるどころか、神木くんの演技がむしろ映画全体のフィクション感を高めてしまってる。もっと言うなら主人公、福士蒼汰くんの演技も微妙なところなんやけど…。ていうか神木くんって言えば僕が少し前に大、大、大絶賛した「桐島部活やめるってよ」の前田を演じたあの主演の神木くんやからね。はあ~~~勿体無い勿体無い!素材が全く活きてない!

そして取ってつけたような回想ドラマが多すぎる。染谷将太くん演じるサタケってキャラの冷静沈着さを示すためだかなんだか知らないけど、あの万引きのシーンとか絶対いらねーだろ!って感じだし、いやそもそも主人公が挙動不審に万引きする映画ってどうなのって話だし。翔子が瞬に惚れた理由を描く回想もまさしく取ってつけた内容だし、ドラマ的な部分はもうこれ本当てんでダメですわ。ダメダメですわ。ドラマいらんでしょこれ。中途半端すぎる……ショッキングホラー的な方面に突き抜ければまだ良かったものを…ともかく人間ドラマは0点です。

じゃあ悪いとこだけだったのかというと実はそうでもなく、こけし達によるうしろのしょうめんだーれ?で誤った解答をすると殺されていくシーンはめちゃくちゃゾッとしたし、良かった。ただただ怯えるだけの女の子に無理矢理「うしろのしょうめんだーれ」を強要し(こけしが怯える少女の周りをグルグル回るだけでも結構なホラーとして成立してる!)、誤ったら殺されることを理解してる女の子はなかなか答えを決断できず、はい時間切れ~と穏やかな語調で宣言した後に容赦なく惨殺するシーンは見応えがあった。強要の仕方一つを取っても、引きつった笑顔で「私、一緒に遊びたい!うしろのしょうめんだーれ大好き!」と無理矢理言わせる展開は極悪としか言い様がないし、殺し方がまた痛々しすぎる。念力で無理矢理体を操って股を縦に割って身体を裂くシーンなんだけど、あのなかなか割けないままギリギリと引っ張られ、そこから更に無理やり…っていう演出が「やりすぎ」感を強調してて良い。このチャプターの一つ前にあたる招き猫の話がゴミのような退屈さだっただけに、このシーンは「うわ…この映画、やるやん…」と思えた。あとは最後の缶蹴りのシーンで天谷くんが缶を取りに行く時間を省くために非常にスマートな手法をとった場面とかも格好良かったりと、決して悪いシーンだけではなかった。

そんなしっかり見せるところは見せてる映画のくせに、ラストが興ざめすぎる。もうこれ本当一番ダメな部分だからはっきり言うけど、あそこほど興ざめなシーンは無い。何が興ざめかというとキャラクターの死に方である。終盤にキャラクターが不条理かつ呆気無い死を遂げて主人公の福士蒼汰くんが愕然とするシーンがあるんだけど、端的に言って「光の粒子に包まれながら幻のように消えていく」って死に方で、要するに綺麗に消えていくんですね。今まで血しぶきあげて殺したり痛めつけて殺したりしてたのに、そこだけ、光の粒子になって消えちゃうんです。アホか!!!いや、そんな映画じゃないやろ!何最後の最後だけドラマチックに締めようとしてるの?何を最後だけ涙腺刺激しようとしてるの?ブレブレか!!!この映画、ブレブレか!!何度でも言うけど人間ドラマとしては0点やからね、この映画。何をしてるんですか。ギャグかと思いました。いやまぁ、ギャグなのかもしれない。

まとめると、15歳前後の子どもたちが好きそうな展開のくせにR-15指定という、いったいどの層に向けられてるのかよくわからない映画でした。まあ、要所要所は良いシーンもあったので、タダで見れたことを加味すると、まあ見てよかったかなと思います。