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映画おじさんの絶品クリームシチュー

謎テンションで新作映画の感想を書きます。

はじまりのうた 感想

あああああああああああああああああ良かった良かった良かった…これ…良かった良かったです!!!めっちゃ良かったです。ふおおおおおお良かったです。見た後の多幸感といったらもう。映画館を出たくなかった。その場で座り続けたかった!!!

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家庭では妻からも娘からも愛想を尽かされ、会社からは解雇を言い渡される落ちぶれた音楽プロデューサー、マーク・ラファロ演じる「ダン」と、映画の挿入歌に大抜擢され一躍スターになった彼氏のデイヴに浮気をされて失意のどん底に陥った女性、キーラ・ナイトレイ演じる「グレタ」が、ひょんなところで運命的な出会いを果たして一緒にアルバムをつくろうぜって話を進めていく映画なんだけど、見ている時間がずっと幸せな映画でした。この二人があまりにも素敵すぎて、いつまでもいつまでも眺めていたかった……本当に幸せの溢れる素敵な映画でした。

まず序盤のシーンで既に5億点出てる。序盤20分くらいで落涙ものの出来なんです。映画っていいなぁ…ってひしひし感じられる瞬間が最初の20分だけでも味わえる。何がそんなに良かったのか。まず、場末のバーで客に相手をされないままアコギを演奏しながら歌うキーラ・ナイトレイの弾き語りシーンからこの映画は始まるんだけど、この時点では観てるこっちも、しっとりしたいい曲だなぁとは思うもののあくまで「ふーん。」って感じなのね。そのあと突如「その日の朝」とテロップが入って、何故かおじさん(ダン)が上裸で居眠りしてるシーンへと切り替わり、そっから延々とこの下品でダメダメなおじさんのダメダメなところが結構な時間、ひたすら映され続ける。正直、見る映画間違えたんじゃないのかと思った。心配になった。仕事はクビになるわ、娘にも見放され、妻からは「あんたなんか居なくなったら30分と経たずに忘れるわ」と言われ、ふらふらと浮浪しながら場末のバーにたどり着くおじさん。そう、そのバーこそ、冒頭で女性が弾き語りをしていたバーだったんですなーーーー。またしても桐島戦法*1にやられましたな~~~~。この、時系列を繰り返す手法のお陰で、ダンとグレタの出会いが殊更運命的なものであるという印象を増大させている!勿論、実際の弾き語りがショボければ説得力が伴わないわけなんだけど、そこもきっちり見事な演奏シーンで納得させてくれる。ここで効果的な演出が、なんと言っても、ピアノやバイオリンなどの伴奏がひとりでに動き出す演出。バーに居合わせたほとんどの人間にとって「冴えない弾き語り」に感じられたあの歌が、ダンにはこんな風に聞こえたんだ!ということを映像でしっかり実演してくれるから、観てるこっちも「運命的な出会い」を体感できる!!ここのシーンは間違いなく5億点!5億点です~~~~~~!そしてリズムに合わせてグッと指揮をとったりしながら恍惚とした表情を浮かべるダンもまた良し。あれは間違いなく「素晴らしすぎる音楽に出会ってしまったときの人間の動き」ですわ。指揮者でもないのに手を動かしちゃうやつ、俺も覚えがあるもん。ちなみにこのシーンで歌われる楽曲は「A Step You Can't Take Back 」という曲なんだけど、本当に感激するから是非映画館で見て欲しい…ピアノの入り方が素晴らしすぎる…素晴らしすぎるんだよ。音楽っていいなーーーーおろろろろーーーん;;;;(おろろろーんは、感涙する時の擬音です。)

このシーンなんとYoutubeで見れてしまいます。初見を映画館で見ないことに後悔すると思うけど興味があったら是非観てね。

Keira Knightley - A Step You Can't Take Back - YouTube

 

そして、いざダンとグレタがアルバムを作ろうぜ!ってなった後もまた素敵で、「録音環境がなくても良いマイクと録音ソフトがあればニューヨークのどこでだって録れるだろ!!」とか言い出して伴奏者を集めていくんだけど、仲間がどんどん増えていくシーンがすごく高揚感のある出来になっている。本来だと仲間を誘ってる描写があってから演奏シーンに移るのが普通の順番なのだけど、この映画はそこをあえて逆にして、演奏シーンを先に見せてからその奏者が仲間に加わるまでのシーンをもってくる。これが挿入歌と流れるように調和していてとてもテンポを良くしているし、突然黒人のごついドラマーが増えたりしてて「うお!?」ってなったりする。それも面白い。集まるメンツが明らかにデコボコなのも面白い。全部おもしろいんだよ。全部ワクワクするんだよーーーーーー観てる間ずっと!!ワクワクが止まらない!!!

 いざデモを外で録ってみようぜ!!ってなった時、最初に歌われる「Coming up roses」という曲がまた最高すぎる。路上でやかましく遊んでるちびっ子たちに「全員に1ドル払うから静かにしてくれ!」「おい5ドル払えよ!」「わかった、2ドルだ」「5ドルだよ!!」「わかったわかった!5ドルでいいから録音中大人しくしててくれ!」「じゃあ飴も追加でちょうだいね」というやりとりをガキンチョ達とするシーンがあって、こりゃ前途多難だなー?ってその場では思っちゃうんだけど、いざ演奏が始まったらもう最高としか言いようがない。路地裏で録ってるから車の排気音とかパトカーのサイレンとかも混じってたり、上で洗濯物干してるおばちゃんが見物してたりもするんだけど、それでも皆楽しそうに歌って演奏してて、騒がしいガキンチョ達もコーラス要因にして、見た目はどう観てもチグハグな連中が最高の曲を奏でるカタルシス!!!って感じ。そして1コーラス歌い終えた出来の良さに大喜びして子どもたちとハイタッチするダン。そこで演奏が終わるわけでなく、間奏が流れ続けたままで次のシーンへと切り替わるこのオシャレさ!粋さ!!!!!最高。5億点です!!!!!!!!

ダンとグレタが一つのミュージックプレイヤーから二つのイヤホンを繋げて、同じ音楽を聴きながら街を歩くシーンがあるんだけど、これがまた5億点でてる!楽しそうに互いのフェイバリット曲を聴きながら音楽に合わせて小突きあったり、ハモったり、「もうだめ、踊らずにはいられない!!」と近くのクラブに入ったり、二人の信頼関係がみるみるうちに築かれていくのがよくわかる名シーン。ここまで意気投合してる二人だけど、決して恋愛を描くことは一切しないままあくまで信頼関係だけを描写しきってるところも魅力の一つだと思う。本当に楽しそうなんだよなああああ!もう最高すぎる!!!!

極めつけは屋上での演奏シーン。「Tell me if you wanna go home」という名曲中の名曲!!まさしく親子、家族の絆を取り戻すことが手に取るようにわかる最高の演出であった。言葉での説明は一切なく、あの数分の演奏シーンだけで力強い説得力をもって家族の繋がりを表現しているのが素晴らしすぎる。自分に自信が無かったからこそ尻軽そうな格好で大胆な女性を演じていた娘のバイオレットが、グレタに導かれながら本来の自分を露わにして、ギターを演奏する。粗削りだけどとっても魅力的で、ダンも「さすが俺の娘だ!!」って感じの笑顔でギターに合わせてベースを奏でる。このシーンにダンとバイオレットの会話はひとつとしてなくて、それでも確かに絆が、ひしひしと、伝わってくる…!!!!こんなもん100億点でしょ!!!!!!!!!!!!っていうかさ、そもそも曲も最高にいいもんな~~~~~~最高にいいもんなこの曲!!!演奏中、録音担当のスティーブやダンは大人しくマイクを持って録音しないといけないのに、いっつも一緒になって身体を揺らしてしまってて、それもいい感じに可笑しくて良い雰囲気出してる。その姿、まさしく仕事終わりにこの映画のサントラを聴きながら肩を揺らして品川駅のホームで電車を待つおれの姿の投影なんだ!!!(意味不明)

ところでこの映画、物語が進めば進むほどダンというおじさんの人物像に萌えていく。娘に嫌われていた頃は「公園でアイスでも食べに行くか?」「私をいくつだと思ってるのよ!」ってやりとりしてたのに、後々グレタと三人で結局公園でアイス食べてたシーンがあって微笑ましかったけど、娘の恋愛話になると娘に気を遣ってか自分が気まずいからか、しれっと席を外して向こうのほうでアイスを食べてたりして、この姿はまさしく萌えである。夜になったら自分は半袖Tシャツ一枚で、グレタに上着を貸してあげてたりして、紳士だしいいおっさんだなぁ。可愛いなぁ。とても魅力的です。

こんな感じで、各シーンを細かく言っていくとキリがないけど、全てのシーンが多幸感に満ちあふれていて、見ててこんなに幸せなことはないんだ。皆、それはそれは楽しそうで、イキイキしてる。

惜しむらくは浮気相手が後半で再び出てくるところ。いけしゃあしゃあと「俺が間違ってた、よりを戻そう」的なことをほざきだすんだけど、こっちは既にグレタとダンの二人を眺めるために映画を見ているようなもんだから、こいつが出てくるだけで話が停滞してさえ見える。お前はひっこんでろ感が強かった。もういらねーんだよ!しかも浮気の理由も本当に軽はずみの行動っぽいし、許せる要素が皆無だし、ほんと邪魔でしかないんだよな~~~~この演じてる役者さんはもともとミュージシャンらしくて歌がしぬほど上手くて、ラストシーンとかでもこの人の歌う重要な楽曲とかあるんだけど、なんかもう嫌悪感しかないんだよな~~~~お前はこの映画にいらねーんだよ!!!!(理不尽なブチギレ) 本当にね、この映画で唯一マイナスだなと思ったのは、よりを戻す戻さないどうのこうのって話になった部分です。どの面下げて会いに来てるんだお前は。

個人的にはもっともっとあいつには悔しがってもらいたかったとは思うものの、でもしっかり決別を描き切ったとも思うし、ともかく全力でオススメ出来る一作です。2015年ベスト1候補が早くもきてしまったなぁというところです。オススメです。

 

*1:桐島、部活やめるってよ。」で用いられた、同じ時系列を別の視点から何度も繰り返す手法のこと。別に桐島の前から多々存在した手法だと思うけど俺が桐島好きだから命名した。