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映画おじさんの絶品クリームシチュー

謎テンションで新作映画の感想を書きます。

セッション 感想

2015年上半期もまだ中盤にも関わらず、こんなに今年ナンバー1候補が続々現れる幸せと言ったら無い…!!!!!!

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名門音楽学校に入学したニーマンは、学校内でも最高峰のジャズバンドを率いる教授にヘッドハンティングされ、偉大なドラマーになる野望を胸に日々練習に明け暮れる。しかしこの教授フレッチャーは「異様」としか言いようがないほど厳しい鬼教官で、ニーマンはそれになんとか食らい付こうとするが、どんどん狂った方向に進んでゆく…的な話なんだけれども、もうめっちゃくちゃ面白かったです!!!!

先に結論を申し上げた通り、本年最高レベルに大好きな映画となりました。この映画の何がそんなにいいのか?魅力に感じた点を一言で申し上げるならば「狂ったストイック」です!!僕はストイックさに憧れはするもののなんやかんやで誘惑に負けて気を緩めてしまうような凡人なので、物事を極めようとしているストイックな人間にはそれだけで憧れちゃうんですなあ。何かに打ち込む人間は魅力的~~~!!!そうでしょう!!????だから僕はこの映画に人一倍酔いしれやすい感性だったのではないかと思います。

でも、この映画の主人公のストイックさと言ったら度を越していて狂気でしかないんです。「いや、そこまでしなくても…」というシーンばかりで、見てるこっちは引いちゃうくらい。物語の前半部分は可愛いもんで、有名なバンドを率いる教授に誘いを受けて調子に乗り「今ならなんでも出来る気がする!」的な勢いで行きつけの映画館で働く可愛い女の子をデートに誘ったりしてるんだけど、ひとたび火がついたら自分から口説いた彼女を「ドラムの邪魔でしかない」と捨て去るわ、手から血が吹き出ても練習するわ、ドラムの鬼そのもの。このニーマンという男、あまりにドラムに執着しすぎて人間関係なんてかなぐり捨ててるせいで、傍目にはかなり嫌な奴に写ると思います。他の奏者がフレッチャーに貶された時とかに、自分にチャンスが回ってくるからといって露骨に笑みを浮かべたりするし。でもなーーー、そういうところも含めて俺はこのニーマンという主人公のストイックさに惚れました!!!(そういえば俺は近ごろ映画をみるためにも英語を勉強し直そうと思ってるのだけれども、仕事の忙しさを理由に結局ほとんど何も出来ておらず、俺がニーマンくらいストイックだったら今頃とっくに日常会話レベルには到達してるんじゃないかなとか思ったりする。あ、これ完全に不要な文章や。)

ニーマンの狂ったストイックさが魅力的という話はこれくらいにして、この映画のもう一つの魅力は「明快なカタルシス」だと思います。要するに、わかりやすく気持ちいい!!!ということ。この映画のカタルシスポイントは大きく分けて2つ存在して、そのどちらも演奏シーンです。中盤のWhiplash演奏シーンと、ラストのCaravan演奏シーン。どちらの演奏シーンにも言えることとして、その演奏の素晴らしさもさることながら、同時に「主人公ニーマンが、常人ならとっくに挫折してるであろう壁を、持ち前のストイックさで打ち破った瞬間」でもあるんですね~~~~!!!!!だからね~~~もうこっちも無条件で「ぃよっしゃあああああああ!!!」ってなってしまうの。それだけで十~~~分に気持ちいいんだけど、鬼コーチ役のフレッチャーはそれまでのシーンでいちいちご丁寧にニーマンの心をへし折り続けてたわけで、その都度こっちはニーマンの「無念さ」を目の当たりにしてるからね。それを打ち破る一撃!!!という意味も相まって更にその快感は増すんですな。そう!!!ラストシーンなんてまさしく「反撃の一手」じゃないですか。(演奏してるニーマンにフレッチャーが詰め寄った際、フレッチャーの顔に近いシンバルを大きく鳴り響かせていたシーン、俺には確かに「顔面へのグーパンチ」に見えたし、実際にそういう演出だと確信してるよ!!!)だから是非、演奏シーンの前にどんな苦痛を強いられ、どんな血の滲む特訓の後に奏でられるか?そのあたりを注意してると、アガらずにはいられなくなると思います。必見!!! あと、宇多丸師匠が「作中何度も演奏を途中で中断させられてきたから、通しで演奏されるそれだけでもカタルシスになる」って解説してたのもなるほどなぁと思いましたね。

でも、ここで忘れちゃいけないのは、あのカタルシス満点の演奏をニーマンが出来るようになったのは間違いなくフレッチャーのシゴキのおかげであるという一点の事実です。大変皮肉なことに、そこに確固たる師弟関係の図が見えるわけです。狂気じみた指導(ていうかもう虐待)のフレッチャーと、狂気じみたストイックさのニーマン。狂気の世界に二人だけが存在するかのようなラストシーンは、天に召されそうになりました。昇天するかと思った。だって映画館が明るくなってからも立てなかったしな。

なんか最後までニーマンの狂気を中心に語ってしまったけど、むしろわかりやすく狂気じみてるのは指揮者のフレッチャーです。楽団員達の一度目の演奏シーンだけでフレッチャーの鬼教官っぷりを一瞬で理解させる演出も脱帽です。「彼女が足フェチでさぁ…」とかクソみたいな雑談をしてる生徒たちが、フレッチャーが教室に入ってくる直前になるやいなやビシッと整列し、練習開始の時間を秒針が刺した途端に空気が一変。全員がいつ演奏を始めてもいいようにフレッチャーの指の僅かな動きに注目するんですね。そしてフレッチャーが非常~~~に小さ~~~く手を振ると、突如ビシィイイイっと演奏が始まる!!!! このシーン!この楽団がいかに洗練されているかと同時に、フレッチャーがいかように厳しく指導しているかがよくわかる!!!うーーーんこんな細かい話をしているときりがない!!!

とにかくですね。演出も本当に達者だし、自分好みだし、大好きな映画です。狂気にまみれた映画でありながら、非常に正攻法でエンターテイメントとしての力を発揮した作品ではないのでしょうか。今年の春はこれを見ずに何を見るんや!!って思います。マジで。オススメ!!!!!!!