映画おじさんの絶品クリームシチュー

謎テンションで新作映画の感想を書きます。

インサイド・ヘッド 感想

ファミリームービーと見せかけたハイクオリティ大人向け映画では…。

 

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インサイド・ヘッド。人間の脳内には喜び、悲しみ、怒り、ビビリといった感情を司る妖精が宿っており、彼女らが脳内会議して行動を決めるという脳内ポイズンベリーみたいな世界観の映画で、ある日主人公ライリーの脳内に宿るヨロコビとカナシミが誤って脳内から抜け出してしまい…というお話なのだけど、設定がめちゃくちゃロジカルに練られててチビッコよりむしろ俺らをターゲット層に作られた映画なのではないかと思うほどでした。

物語の冒頭で手際よく世界観や設定を説明するピクサーのお家芸(特にモンスターズインクやシュガーラッシュの冒頭とか本当クラクラするほどの手際良さ!!)が今回のインサイドヘッドにもあるんだけど、こんな設定よくもまぁ描けるもんだと惚れ惚れしてしまう。ライリーがなんらかの感情を生むと脳内の「司令部」と呼ばれるところに感情で色分けされた珠のようなものが運び出され、一日の終わりにその珠達が性格を形成する「島」へと運ばれる。それぞれの島が成長して最終的な人格が形成される……んんんんん、最高か!!!!最高か!!! なんじゃそのワクワクする設定は!!!こういうデザインとかどうやって決めていくんですかね…完成系だけ見せられてもどんな経緯でこんなとんでもない絵面が出来上がるのか見当もつかん。

物語の前半、ライリーは幸せそのものな日々を送っている。それは他でもないヨロコビの功績で、イカリやビビリ、ムカムカといった他の感情達をうまく統率してライリーをいつも笑顔に満ち溢れさせているから。一方カナシミはと言えば、楽しい思い出の珠に触れて悲しい記憶へと変えてしまいそうになったり、ライリーを落ち込ませたりと、一見邪魔ばかりしてるように映し出される。要領も悪く、悲観的なことばかり呟いて周囲の士気も下げ、見てて辛くなるほど「使えないやつ」である。僕らは「なんだよ悲しみなんて無い方がいいじゃねーかよ」と思ってしまうんだけれども、こっから物語が進むにつれて、ヨロコビは悲しみの感情の尊さに気づいていく。見てる僕らもハッとする。悲しさを感じられるから、人は人に優しくなれるんや…そんなことも忘れて「悲しみ要らねーなーーーおいおいおい」とか思ってた一時間前の自分が恥ずかしくなる。物語全体がそういう仕掛けになってるんですなー、うまい!ベイマックスも言ってたやん、泣きたいときは泣いてもいいんですよ、って……(関係無)。

こういうテーマ自体もなかなかヘビーで大人向けだと思うのだけど、更にちょいちょい入るギャグの射程距離が完全にチビッコを遥か追い越して俺らに向けられてるように思えてならない。

平面世界へと迷い込んだヨロコビ達のシーンで、奥に小さく見える出口へ向かべく奥へ進もうとするも平面世界には奥行きがなく、遠近法で小さく見えててもあくまで世界は平面だから物理的に出口が小さくなってて出られない…という、言葉で解説しようと思っても理解できない高度すぎるギャグとかが平気で打ち込まれてて、俺はめっちゃ笑ってたけど全然子供笑ってなかったからな……

あと、「ふとした拍子に何かのCMソングが頭によぎる」というあるある事象を、記憶の管理人がふざけて脳内に送りつけてるというネタにしてたのも面白かった。(これもチビッコにはわからんやろ…)トリプルデント♪フンフフーン♪

 

 

 

 

 

以下、物語の核心に触れるネタバレ有り。

 

 

 

 

不満な箇所はそんなにないんだけど、ビンボンへの弔いは必要やろ……と思いました。例えば最後のシーンでライリーが夢の中でビンボンと月へ遊びに行く描写があったりだとか。素敵なキャラだっただけにあのままのフェードアウトには驚いた。(追記:そもそもビンボンは記憶から抹消されたのだから、弔いにあたる演出を用意しようにもライリーがビンボンを思い出すこと自体が矛盾になってしまうという構造的な問題は確かにあるな……しかし何とか出来なかったものか…うーん。) ところで、そもそも幼い頃に架空のオリジナルキャラクターを脳内で作って遊ぶなんて体験を俺はしなかったなあ〜、一般的にはそういう遊びをする子は多いのかな??でも床を溶岩に見立ててクッションを飛び移るのは昔やったわ……俺だけじゃなかったのね…なんか不思議。

あと、最終的にヨロコビが司令室へ帰還したときの手段が突拍子なさ過ぎてめっちゃ笑ってしまった。そんなんありかよ!でも嫌いじゃないわ、あのギリギリの路線。

最後になったけど最初にクソみたいなオープニングが流れる件に関しては、聞きしに勝るクソさでよかったです(?) 蛇足も突き抜けると一芸やね。

おわり。