読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

映画おじさんの絶品クリームシチュー

謎テンションで新作映画の感想を書きます。

アーロと少年 感想

天才集団ピクサー 容赦なくキレッキレの作品をつくるの巻

f:id:ma2baga2:20160320222842j:plain

本記事のネタバレ:核心には触れず、おおまかなストーリーには触れます。

f:id:ma2baga2:20160125005641p:plain  自然界の苛酷さをファミリームービー上で描き切った怪作。

本作「アーロと少年」は話としてはオーソドックスで、"臆病なアーロが冒険と友情の末に勇気を身につける成長譚"なのです。その一言だけ聞くと、いかにもファミリームービーといった感じなのですが、いやいやこの映画侮ることなかれ、ファミリームービーとしての体裁はギリギリ保ちつつも、かなーりえげつない展開、えげつない描写が多いです。

生まれつき身体も小さく臆病で、ニワトリ相手にさえ怯えてしまうような恐竜アーロが、作中でちょっとシャレにならないくらい危険な状況に幾度と追いやられます。なんせ相手は「大自然」なわけで、アーロが臆病であろうとなかろうと、食物連鎖の下位にあたる草食動物にとって十分すぎるほど過酷なんです。臆病の代名詞であるチキンにさえ怯えるアーロが、弱肉強食のど真ん中に置き去りにされるという惨さは想像に難くないかと思います。これを例えるなら「はじめてのおつかい」で、いきなり県境を越えた治安の悪い繁華街まで行かされたかのような感じ!!もう見てられない!だれかあの坊やたちを保護してあげて!!!!……あ、これ逆にわかりづらいですね。

勿論、小さい子供も対象としたファミリームービーなので残酷描写があるわけではないけど、しっかりと過酷な境遇を描いているため、僕は可哀想で目を背けたくなるほどでした。このダイレクトな描写が僕らに与える効果は、第一に大人が観ても見応えのある作品になっているということ。そしてアーロがそれらを克服した時のカタルシスが何倍にも膨れ上がっていること。(出ましたカタルシス!そうだよ僕はカタルシスおじさんだよ。カタルシスポイントは見逃さないのさ。)

ファミリームービーというのはどうしても、子供向けという点において舐めてかかりがちだと思うんですけど、この映画をこんなバランスで作り上げたPIXARはやっぱり伊達じゃないと思いました。

f:id:ma2baga2:20160321014423p:plain

全編通してほとんどのシーンで窮地に立たされ続けるアーロ……いたたまれない。

f:id:ma2baga2:20160125005641p:plain 小さい子供よりも、日々奮闘する社会人に観てほしい一作。

そしてこの成長譚、幼稚園層のお子様よりも、社会人直前のフレッシュな人達にこそ観てほしいなと思いました。そういえば、ちょうどあと1週間くらいで入社式ですね。

身も心も未熟で守ってあげたくなるようなアーロが、手厳しい大自然のど真ん中で一人奮闘する姿は見ていてとっても辛いのですが、アーロは色々な出会いや学びを経て、誰でもない自分の力をもって、しっかりとそれを克服していきます。そしてこの姿に僕が連想したのは「社会に出て一人暮らしを始めた新入社員」だったんですね~~(毒されてますね。)

何をするにもあんなに怯えていたアーロが立派に勇気を振り絞ってるあの姿。それはまさしく、今まで経験したことがないような重い重い責任が突如のしかかり、実家の両親がめちゃくちゃ恋しくなり、どうしようもなく泣きたくなるんだけど、負けるもんかと奮闘する新社会人そのものと言っても過言では無いのではなかろうか??(注※過言です。)

臆病なアーロの勇気ある行動に一番共感して感化されるのは、ちびっ子達ではなく、社会という「弱肉強食」な荒波と日々奮闘している僕達なのではないでしょうか!!少なくとも、僕はそうでした!!!アーロに負けないように頑張るぞ!!!!

f:id:ma2baga2:20160320222428p:plain

スポットのような、怖いもの知らずで向こう見ずな若手が一番こぇーんだぜ!!

f:id:ma2baga2:20160125005641p:plain この1シーンだけでも劇場に足を運んで良かった、明快なカタルシス。

本作には「もうこんなシーン見せてもらえたんだから、それだけで劇場に来て儲けもんでしょ!」と思えるような、いわゆる5億点シーンがありました。是非大画面のスクリーンで観て頂きたいので、ネタバレにならないようにしつつ紹介してみます。(ネタバレに敏感な方は、ここでストップして下さい。)

そもそもアーロが臆病を克服しようと奮闘するルーツというのはお父さんにあって、虫一匹にさえビクビクしていたアーロに「勇気を振り絞った先にしか見れない素敵な景色もあるんだよ」と、怖がっているだけでは絶対に発見できないような美しい景色を身をもって見せることで勇気の大切さを説いてくれたのがお父さんでした。

そうは言ってもアーロが臆病な性格を克服するのは随分と先になるのですが、ある恐竜たちとの出会いと共に、アーロが目に見えて明確に「変わった」ことがわかるシーンがあるんですよね。そこから例の5億点シーンへと移るんですが、この解放感が本当に筆舌に尽くしがたい!!!!ふおおおおおお!!!!!!

このシーン、アーロが初めて「自分の力で美しい景色を作り出したシーン」なわけじゃないですか。あのアーロが成長したということが描かれているだけでも胸がいっぱいになるのに、あんなにも圧倒的な画のクオリティで息を呑むほど美麗な景色を見せられたら、こちとら無条件に感激させられちゃうんですよ。しかもその景色を織り成す元となっている対象が、物語の冒頭にアーロが度々怖がっていたあの種族というところがまたニクい!!!!昔のアーロだったらあの道は通らず引き返したことでしょう。それが今となってはどうでしょう。こんなに素敵な景色の道が開けているではないか!!!!!こんなの感動するに決まってるだろ!!!これは例えるならば、今まで散々厳しく泣かされてきた上司に初めてプレゼンを認められ……あ、もう社会人あるあるで例えるのやめましょうか。はい…。

ともかく実写と見紛うほど鮮明な3DCG描写が映えること映えること!!!あのシーンの画の美しさ、間違いなく世界最高峰レベルなので、CGに興味があるならCG見るためだけに1800円払って何の損も無いですよ。

 

というわけで、子供が観たら泣いちゃうレベルにショッキングなシーンもあり、笑いの角度が尖すぎて心配になるシーンもあり、いろんな方面でキレッキレな作品に仕上がってる本作。僕はかなり好印象でした。雑なまとめですが、オススメでございます。

カウボーイ的なメタファの話とかは映画評論家の方々がこぞって話てるので、そういうのに興味ある人はぐぐってみましょう。僕はあまり興味ないです(適当)

おわり

 

www.youtube.com