読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

映画おじさんの絶品クリームシチュー

謎テンションで新作映画の感想を書きます。

マジカル・ガール 感想

やばいのがきた。尋常じゃない。

f:id:ma2baga2:20160326183713p:plain

この記事のネタバレ:ネタバレなし。細かなシーン内容には少し触れます。

f:id:ma2baga2:20160125005641p:plain とりあえず絶賛させてくれのコーナー

うおおおおおこの映画めっちゃくちゃ良かったぞ!!!予告編を観ただけではそこまで興味も持てなかったというか、「なんか小難しいアート作品なんじゃないの?」とさえ思ってたんですけれども。いやいやいやめっちゃ僕好みの明快エンターテイメント映画じゃないですか…(語弊しかない表現)

本作は「どうなっちゃうの!?ねえ、これどうなっちゃうの!?」という展開がクッッッソ楽しい映画なので、絶対にストーリーには言及できなくて非常にもどかしいんだけど、僕がこの映画に骨抜きにされたという事実だけは先に明示しておきたい!!紛うことなき傑作です!!オススメです!「上映館数少ないから…」とか「近くではやってないから…」とか理由にしないで観に行ってくれ~~~頼むゥ…頼むゥ……。

とはいえタイトルからは考えられないほど暗くて鬱々としたフィルム・ノワール作品で、結構好みの分かれる要素にも溢れているかと思います。なので僕が頑張ってネタバレを避けながら「こういうとこが良かったで~~」ってのを書いていくから、自分の苦手じゃなさそうな感じだったら是非観に行ってくれ~~~~~マジでよかったぞ~~~~~~。おろろろ~~~~ん(鳴き声)

f:id:ma2baga2:20160326211654p:plain

難病を患う娘を想うパパのあったかポカポカストーリーかな?(すっとぼけ)

f:id:ma2baga2:20160125005641p:plain見えないから、言わないから、怖い!!!「最小限の演出」の妙。

この映画、派手な演出とかは全然なくて、むしろ無音が続くような静か~~~で暗~~~~い映画です。わざと難しい表現をするなら「行間を読ませる映画」…なんだけど、この効果が絶大なんですよ。もう常に緊張感がすごくてドキドキハラハラ。全体的にやけに静か~~~だから「何か起こるんじゃないか?」「何かしでかすんじゃないか?」とピリピリしてしまう。例えば、本作のファムファタール(主人公の運命を狂わす女)的な役割を担うバルバラという女性が友人の赤ん坊を抱っこするシーンがあるのだけど、バルバラの背中側からカメラを映すもんだから赤ん坊が隠れて見えないんですよ。シーンとしては何気ない日常描写にも関わらず、もうこれだけで「なになに怖い怖いヒイ~~~」って感じが加速してくから、全シーン驚くほどに、退屈しない!!!

また、登場人物の全員が大小あれど「不可解な行動」をとる奴らなもんだから、余計に各シーンで「こやつ、何かしでかすんじゃなかろうか??」という疑念が常に胸の内を支配し、それがまた先述の"制限された演出"と共にダブルで作用してくるから、も~~~得体のしれない不安感が常に作品全体を覆い尽くすわけですね~~~~。なんて退屈と無縁な映画なんだ…!!!

f:id:ma2baga2:20160326214638p:plain

見たい部分こそ隠してくるせいで、余計過剰にイメージしてしまうという妙。

セリフが少ない、アクションが少ない…となると必然的に説明は少なくなり、観ている側がイメージで補わないといけないから僕には苦手と思い込んでました。投げっぱなしにしてないでちゃんと説明しろよ!と怒るような人間でした。しかし、この映画はそれを打ち砕いてくれました…見せない演出、言わない演出が、僕らの「嫌な予感」をこんなに誘発させてくるのか。観客の想像に委ねる行為が、ここまで爆発的に効果を発揮するのか。

f:id:ma2baga2:20160125005641p:plain後から振り返ってゾッとする。「今思えばあのシーンは…」の妙。

突然ですが伏線回収って気持ちいいじゃないですか。そりゃね。なんだかんだ言ってもね…。でもこの映画は伏線回収でスカッとするような生易しい演出では終わらない。というか、作中では最後まで触れられない伏線さえあるのです。(ゆえに伏線という言葉自体に語弊がありますが。)むしろストーリーは目まぐるしく展開していき、前シーンを振り返る余地を与えない。先の読めない展開にクラクラしてきます。

そして、ですね。息を深くつきながらエンドクレジットをぼーっと眺めつつ、各シーンを反芻するんです。そしたら思うわけです。「・・・ん?待てよ?」と。今思えば、あのシーン、こういうことだったのでは。今思えば、あの時彼はああしておけば。今思えばあそこで語られなかったあの内容は。今思えば、今思えば、今思えばあああああああゾクゾクゾクゾクゾク!!!!!ぞわっ・・・・!!!!!この感じ是非味わってくれ~~~~~~~~~頼む~~~~~~~~~~~。

具体例を挙げるならば、タマフルでも紹介されていた「過去に重罪を犯したと思しきダミアンという男性が探していたジグソーパズルの1ピースが、最初に登場するシーンがどこなのか。」なんて部分は特に、注視していると面白いシーンの一つですね。そして僕が個人的に振り返りながら一番ゾクゾクきたのは、アリシアが記した"願い事ノート"についてです。アリシアの父・ルイスは、ノートに書かれていたアリシアの2つ目の願いを叶えるために死にものぐるいで行動に移したわけですが、映画を見終えてから振り返ってみれば、そういえば次のページにかかれていた3つ目の願い事ってなんだったっけ?結局それは叶ったっけ?、叶わなかったっけ?そして、それはルイスが2つ目の願いを叶えようとしなければどうなっていたっけ?このあたりを考えるともう・・・もう・・・ああああ・・・ッ!!!

他にも、ダミアンがある行動に移すためにビシッと着替えをこなすシーンとか、アリシアちゃんの超がつくほど愛らしい演技とか、細かいことを言っているとキリがないです!!

というわけで、一度観ると劇場を後にしたその帰路からずっと、各シーンがぐるぐるぐるぐると頭のなかを駆け巡らずにはいられない!!

最高に陰鬱な極上のフィルム・ノワール大傑作。おすすめでございます。

おわり