映画おじさんの絶品クリームシチュー

謎テンションで新作映画の感想を書きます。

アイアムアヒーロー 感想

最高です。最高です、これは最高ですよ。

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本作のネタバレ:核心を避けます。細かなシーンに触れます。

原作の知識:未読。映画以外の知識は一切ありません。

僕はゾンビもホラーも好きとはとても言い難く、その手のジャンルは1年前までロメロのことをロメオって覚えてたくらい無知蒙昧なんですけど、本作はめっちゃくちゃ面白かったので頑張って紹介させていただきます。原作も読んでいない、ゾンビ映画も普段は見ない、そんな門外漢な人間が感じたことを今日は聞いてください。

f:id:ma2baga2:20160507144218p:plain 邦画でも出来る、邦画だからこそ出来る!日常崩壊ゾンビ映画

皆様のレビューを拝読していると「邦画でここまでやれるとは!」「邦画なのに演出がエゲつない!!」などなど、「邦画イケるやん!!」的な絶賛意見が多く寄せられており、今までの和製ゾンビ映画はさぞ不遇だったのだろうな…といった文脈を感じながら劇場へと足を運びました。ある程度ハードルを上げて鑑賞したのですが、これがもう予想以上も予想以上!個人的には先述の「邦画なのに…」どころの話ではなく、むしろ「邦画だからこそ!」と思いました。これは日本でしか作れない映画だぜ!!すごいぜジャパン!2020年オリンピック!おもてなし!ひゃっほーーーーーい!!!(雑)

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有村架純の可愛さも、邦画ならではの魅力ですね~~~(雑なことしか言わない)

 

f:id:ma2baga2:20160507144218p:plain日常と非日常のコントラストが生み出す絶大な効果

 本作の大きな魅力の一つとして、"日常が崩壊していく様相のリアリティ"が挙げられると思います。これが本当にでかい!!

これは3,4年前に友人が惡の華という作品に対して指摘をしていた内容なのですが、彼曰く、「非日常を描きたければ日常を描かないと意味を成さない」という趣旨の話をしておりまして。裏拍を続けているとそれが表拍になってしまうのと同様に、終始非日常を描き続ければ我々は「ああこの世界ではそれが日常なんだな」と認識してしまうわけです。その点、本作アイアムアヒーローは、冒頭からの数十分、売れない漫画家の日常ドラマを延々と映し出します。これこそが、非日常の幕が開かれる前のお膳立てとしては大、大、大成功なんですよね。

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どこにでも居そうなダメ人間、英雄。前半の日常描写は人間ドラマかと見紛うほど平凡。 

大泉洋演じる主人公の英雄(ひでお)はアシスタントで食い繋いでる売れない漫画家。原稿を出版社に持ち寄っても軽くあしらわれるばかりで、同棲してる彼女からも愛想を尽かされる始末。(もはや、何の映画観にきたんだっけ?状態。)

英雄がカップラーメンをズゾゾゾッっと啜ってたら、その音にムッとした彼女が無言でテレビの音量を上げて、それに気づいた英雄が出来るだけ音を立てないようにラーメンすするシーンとか、居た堪れなさが最高ですよね。同じ頃にデビューした漫画家の同期が華々しく雑誌の表紙を飾ってて、「なんだよこんな奴の漫画どこが面白えんだ!」って怒りながら読み進めてたら「なんだよ…面白えじゃねえかよ……ちくしょう、おもしれえなああああ……」と項垂れるシーンとかも、最高ですよね。なんかもう、もはやゾンビの血しぶきとかよりも目を背けたくなるシーンになってる気もしますが。笑

このような、僕らが否が応にも社会で味わっている世知辛さをリアルに描けたことも、まず一つ、邦画ならではの魅力かと思います。しかしながら、更に図らずも本作に追い風となっている点が一つあります。それは「我々が日本で生まれ育ち、生活している」という事実です。

ハリウッド映画の場合、舞台が海外というだけでも実は無意識的に自分と異なる世界として線引してしまい、コントラストが弱まってしまうように思います。(例えば僕らにとって海外旅行は、それだけである種の非日常体験ですから。)本作は邦画であるが故に、そこを回避できているということです。僕達が今まさしく住んでいるこの世界が、豹変してしまう…!これこそが我々の恐怖心を何倍にも増幅させている!!!

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日常から非日常への転換は、じわじわ坂を上ったジェットコースターが急降下するような感覚。

またこっからのシーンの長回しが最高にいいんだよなああああああああ!!小道を歩いていたらどんどんと感染者達に出くわし、事態の深刻さが少しずつ明らかになってゆき、大通りへと出たその先の光景が、また輪をかけて悲惨!!!!!ドーーーーーーーーーーン!!最高!!!!!!!!!!ひえええええええ!!!パニック映画!!!!!ああああもう一度観たい~~~!!!!!いや~~~マジでこのシーン楽しかった…全編通して楽しいけどな!!!

細かいこと言うと、英雄が職場に「土足で」あがったシーンが、踏み入れてはいけないところに足を踏み入れたという意味も孕んでいて、日常と非日常が逆転するトリガーになっていた気がします。

f:id:ma2baga2:20160507144218p:plain 笑い、恐怖、ヒロイズム、全てが最高のバランス

主人公の英雄がダメ人間という情報は既にお伝えしましたが、性格的なダメ人間というよりも「頑張ってるし、根は良い奴だけど、肝心なところが抜けてるし要領も悪い。」という、そっちのパターンのダメ人間なんですよ。端的に言って応援したくなる。何より、この英雄の愚直なバカ野郎具合が本作全体の雰囲気を非常~~~~~に良いバランスで保ってるのですよ!!!

なんせこの英雄、予想に反して作中でそれほどウジウジしないんですよ。これは良い意味で裏切られた部分だと思います。たしかに事態が発生してからも頼りない男ではありますが、少なくとも自分なりに全力を尽くそうという姿勢を常に見せ続けてくれます。例えば、逃げるために乗ってたタクシーが突如暴走してしまうシーンでは、咄嗟に自分より先にひろみちゃん(有村架純)のシートベルトをつけてあげていたりする。及び腰になりながらも彼はいつだって全力です。だからイライラしないし、素直に好感が持てる。

また面白いのが英雄の妄想演出で、非常に勇ましいシーンかと思いきや結構前から妄想でした~ということが後から発覚する、夢オチならぬ妄想オチが頻出して笑いを誘うのです。いわゆる「モワワワワーン」みたいな演出が入らないから、見てるこっちはどっからが英雄の妄想だったのか気づけないのですよ。「え!?今の妄想かよ!?」的な。

後半にこの妄想オチを巧みに使った最高の演出が用意されてまして…いやーーーネタバレ避けるのが難しいからどういう使われ方してたかは言及できないけど、是非観てほしいな~~~。全編最高だけど、特に僕はベストシーンだと思います!!

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妄想癖のある英雄の、作中最後の妄想が終わる時。文字通り殻を破るシーン!!カタルシスッ…!

とにもかくにも、主人公の英雄が思いのほか魅力的だったのが本作の勝因だと思います。彼のおバカな行動のお陰でシリアス一辺倒にならず救われるし、自分を奮い立たせて挑む愚直な姿には素直に感動させられるし、もうもう…大泉洋……グッジョブ……(涙)

目を背けたくなるほど怖いし、声を出して笑っちゃうほど面白いし、英雄の勇姿に感動する!!エンターテイメントってこういうことだよなあと感心することしきりでございます!ほんっとに、面白いですよ!!また、ここまで触れずにきましたが、グロテスク描写の容赦なさも評判通り良かったですぞ。てなわけで、これ以上長く書いてたら今日のタマフルに間に合わないのでここまでとさせていただきます。(もうすぐ21時です。)今年の邦画ベスト更新!!! おわり