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映画おじさんの絶品クリームシチュー

謎テンションで新作映画の感想を書きます。

日本で一番悪い奴ら 感想

ドチャクソ面白かったです。舐めてました。おもしろすぎ。

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本作のネタバレ:核心を避けつつ細かなシーンには触れます。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain倫理観ガン無視でエンタメ真っ向勝負。もはや清々しい!

いやーーーーこんなに面白いとは思ってなかった。本当に得した気分です。そして綾野剛を大好きになりました。(今まで「ベッドシーンばっかり起用されやがって羨ましい」とか思っててごめんやで。)ここんところ邦画が確変中で2016年に祭りが来てますね…邦画祭りじゃーーーーー!!!

さて本作を語る上で皆さん口を揃えて「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を比較に挙げているようですが、なるほどこれは確かにウルフオブ。セックスやドラッグの話という表層的な部分も類似していますが、根本的に「金もコネもない若造が、持てる手段という手段を使い尽くして、のし上がっていく物語」という大枠が共通しているんですねーーーー。これが大変清々しくて最高!本当に最高!!!

ウルフオブよろしく、倫理的に許されたことではなくとも、軽快なエンタメ・コメディ色を全面に出してることで観ていて不快感は無く、むしろ心地いいんですよね。

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ウルフオブで言うところのマシュー・マコノヒーのポジションを演じるピエール瀧先生。マコノヒーとは打って変わってカリスマ性を全く感じないところが良いですね。(褒めてます)

更に何が面白いかって、主人公の諸星(綾野剛)は決して悪に目覚めたわけではなくて、あくまで警察で成果をあげるため、愚直に「工夫をこらし続けてる」んですよね。そして工夫に工夫を重ねて、重ねまくった結果、とっんでもない所まで来てしまった…という話が本作なわけです。その規格外の手口といい、下っ端から成り上がっていく様といい、過程の全てがもう楽しくて楽しくて。最高です。すすきので道行く人々に片っ端から挨拶されてゆくシーン、素ッ晴らしかったですよね。

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拳銃の摘発数を増やすべくヤクザから仕入れてそれを摘発するという極端すぎるマッチポンプ

そんな感じで、完全にエンターテイメントとして間口が開かれた作品なので安心してゲラゲラ笑えるという点も本作の魅力です。あと無闇やたらにエロいシーンが沢山用意されていたのも、作品に合ってて大変よろしかったと思います!いや、本当に!

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain一転して揺さぶられる倫理観。笑い事じゃ済ましてくれない。

上記のように、諸星があまりにも一心不乱に頑張るもんだから観ている我々も全力で応援したくなります。そして、そもそも直球新米警官がヤクザの世界でのし上がっていく様自体が楽しくて楽しくて、一言にまとめると「いいぞもっとやれ」といったテンションで観ることになるのです。しかし、本作はそのままのテンションで「あーー、楽しかった!!!」と我々をおうちに帰してはくれません。(この最終的なテイストの差がウルフオブとの違いかなとも思います。)

マッチポンプに無理が生じてチーム内に軋轢が生じたり、心身ともに落ちぶれていったりと、中盤からは見ていて辛いシーンが立て続けに入ります。今までヘラヘラと笑いながら観ていたことが嘘のように、諸星が及んでいた行為に恐ろしさを感じます。これがまたすごい。あんなにワクワクしながら観ていたのに、最高級の後味悪さを残した幕引きが用意されております。是非ご覧ください。

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徐々に、頭空っぽで笑いながら観ているだけでは済ましてくれなくなってゆきます。

少しだけ文句を言うならば、中盤以降はどうしても冗長に感じる節がありました。作品の質が高いから全然苦痛ではないのですが、やはりそもそも135分という長めの上映時間はそれだけで欠点になり得るというか、うーーーん難しいところ…。(長い映画はそれだけで欠点というのが僕の勝手な持論なのです。)

とはいえ、少なくとも退屈することは一切ないと思うので、爆笑必至の導入部からドン引きするようなラストまで、超、オススメです。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plainその他、細かな感想というか、駄文。

オープニング以降ちょいちょい流れる本作のテーマソング、めっちゃいいですよね。パラパラパラパラパララララン♪ってやつ(全然伝わらない。)あれ本当に良いな~~~~脳内でずっと流れてます。サントラ欲しいけど売ってるのでしょうか。

あと、タイトルが「奴」じゃなくて「奴ら」なのは、端から諸星の悪行にスポットライトを当てた作品ではなく、そもそも組織的・システム的な悪を指した「奴ら」ということなんだなぁ~…なんてことも本編見終えてからだと納得できたりして、それもまた良いですね。

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日本で一番悪い奴ら!!!!!!!

後半に諸星が新米警官に対し「何故警察になったのか」を問うシーンがありますが、新米警官の真面目な答えに対してピエール瀧のように「あーいいからいいから、そういうの。」とあしらう訳ではなく、押し黙っていたのが印象的でしたね。彼はあの答えに何を思ったんでしょうか。昔の自分に思いを馳せていたのでしょうか。

他には、夕張で不良息子に背負投げされるシーンがあるけれど、諸星を俯瞰的なカメラショットで撮っているあの絵面、無残に横たわる諸星と雪に残った足跡の関係が「紆余曲折した軌跡の末、こんな惨めな姿になっているという人生全体の俯瞰図」にもなっているように感じて、心にズーンと来ましたね……。流石に深読みすぎでしょうか。ともかく、あのみじめすぎるシーン大好きです。

とにかく観終えてから思い出すシーンが沢山ある映画です。ゲラゲラ笑えてめっちゃ楽しいのにクッソ後味悪い!最高の映画だと思いました。オススメでございます。

おわり