映画おじさんの絶品クリームシチュー

謎テンションで新作映画の感想を書きます。

シン・ゴジラ 感想

まごう事なき「日本映画」。今年の邦画フィーバーはいつまで続くのか。

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本作のネタバレ:核心は避けますがネタバレします。視聴後を推奨。
ゴジラシリーズの知識:今回が完全なる初です。
エヴァンゲリオンの知識:アニメ全話及び序、破、Q 全て各複数回観てます。
 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 知恵と工夫と信念で、ゴジラを迎え撃つ日本映画

本作は舞台が「日本」です。もっと言えば「僕達が生活する日本」です。我々と別の世界線の日本じゃなく、本当に僕らが今生きている「日本」が舞台なのです。これは日本のディザスタームービーなのです。その点にとても感服しました。……いや、こんな言い方をしてもなんのこっちゃ意味不明なので、以下にもう少し詳しく掘り下げます。
 
本作はキャッチフレーズにある通り、ニッポン対ゴジラの映画です。例えばもしも実際に日本へ怪物が現れたら、それに対抗しうるヒーローが現れてやっつけてくれるでしょうか。否、国民が知恵を絞って戦わないといけないんです。アイアンマンが、キャプテンアメリカが、脅威と戦うのではないのです。ましてやシンジくんが頑張るわけでもない。特定の主人公が国の命運を掛けて戦うのではないのです。日本という国が、ゴジラと戦うしか道はないのです。(建てつけ上、長谷川博己が主人公ではありますが、彼も組織の司令塔という立場に過ぎません。) 日本にゴジラが現れたら国民はどうするか。このテーマと真摯に向き合ったのが本作だと思います。

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ヒロイックな演出はあまり用意されておらず、ゾッとするほど淡々とした映画です。

ちなみに舞台が日本ゆえに、普段通勤している街なんかでもゴジラが大暴れするもんだから、「ああーーーー俺の街がーーー!!!」ってな楽しみ方もありました。何なら「今ぼくそこでこの映画みてるんですけどーーー!!!」というシーンもあり、そこは流石に笑ってしまいました。
 
 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 「日本がゴジラと戦う」という本当の意味と向き合う

日本がゴジラと戦うと言っても、実際には様々なしがらみがあります。意思決定機関である政府は国を動かす重い責任がある故に、画期的な最善手よりも堅実な一手こそ重視します。緊急事態でも、議決などのしかるべき「段階」を踏みます。観ていて「今まさに死人が出てるのに、そんなことしてる場合かよ!」と思うと同時に、だけどこれが彼らにとっての「最速」であり「最善」であることも納得できてしまう。
つまりですね。本当に今、我々が生きるこの日本、この東京に、突如見たこともない脅威が現れたら、我々はこうなるんだろうな〜〜〜…というイメージにめちゃくちゃ説得力があるんですよ。政府はまだるっこしい召集や決議を経ないと何も行動に移せない。ゴジラへ立ち向かうためにも、法律との折り合いもつけないといけない。僕は政治や法律に詳しくないので、本作がどれほど現実社会に忠実な描写かは計れませんが、とにかく「そんなことまで気にしてからしか何も動けないのかよ…」というもどかしさがつきまとい、そこが非常に興味深くもあり、楽しかったです。終盤なんかは国際事情まで絡んできてもう、もう…いい加減にしろ!って感じです(褒めてます)

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とにかく専門用語が飛び交い、話し合うシーンの多いこと多いこと。

要するに、この絶妙なフィクションラインの配置が、本作を極上のディザスタームービー足らしめる大きな要因だと思うんですよ。だからドラマチックな人間模様、善や悪、恋愛、ヒロイック、その他諸々が本作ではこれでもかと排除されてるのです。そんなものは不要なのです。この物語は、ゴジラという突如現れた強大な脅威を迎え打った日本という国の話なのだから。
 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 後半以降、バランスが崩れ始める現実と虚構の境

ここから少し不満点なんですが、まず一番初めに言いたいのが…どうしても俺は石原さとみが受け入れられなかったんやうおおおおおおんうおおおおおおおおおん!!!!あいつめっちゃキャラクターキャラクターしてるから、あいつが出てくるたびにフィクションバランスが激崩れするんやああああ!!!この子、英語のネイティヴスピーカーという設定だからカタカナの部分だけやたら発音良くなるんだけど、あの演技とかもあざとすぎて無理やった……石原さとみ支持派の人、ほんますんません……。

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ちょーーーっと、あまりにも浮きすぎていた気がするんですが、いかがか……。

特に後半は石原さとみだけに関わらず、少しずつ現実と虚構のバランスが好みとズレてきたので、僕は前半こそが至高で後へ進むにつれて失速していった印象です。異端児の寄せ集めで対策本部を設立するくだりなんかは日本というよりは少年漫画のチーム戦に近くなってきたし。(それが悪いことかどうかというのは、完全に好みの問題)
とはいえラストバトルは興奮しましたね!!なんやその戦い方!ニヤニヤが止まりませんでした。
 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 「あれが良かった!」「これが良かった!」色々語ろうのコーナー

やっぱゴジラの描写だけでも最高でしたよね〜〜〜。憲法をも脅かす決死の思いで自衛隊の一斉攻撃を許可したのに、かすり傷ひとつ付けられずに作戦失敗に終わったときの絶望感とか良かったよね。
あとはやっぱり口から放射熱線の演出!!あれめっちゃ良かったですよねーーー。グオオオオオオっとビーム状に吐き散らかした後、熱線が弱まってきたらビームが炎になるんですよね。あの凄まじい炎さえも余韻なのかよ……という恐ろしさ。
そしてそして何と言っても進化前のゴジラ!!!気持ち悪すぎる!!!あれ最高。マジ最高。なんであんな気持ち悪いの……。ファーストインプレッション「気持ち悪っ!!!」これがねー、本当にねー、最高。(何回言うねん)
あとはあれですね。総理大臣の絶妙な頼りにならなさ。「苦しいところですが…ここはひとつ…」と承認を迫られるシーンが立て続けに続くところとか、めっちゃ笑いました。シリアスなシーンなのに天丼を被せてくるという名シーンですね。…しかしながら、完全にただのポンコツとして描かれているわけでは決してなくて、トロッコ問題を迫られた時に狼狽せずに「中断だ。」と宣言していたところとかは最高に格好良くて見直しました。頼りない描写はあるにせよ、総理大臣の威厳は保たれていてそれも良かったと思います。
作中エヴァのBGMが流れた件については、「あ、エヴァのBGMだー。」って感じでしたね(頭からっぽおじさん)。まあ雰囲気にはとても合ってたと思います。
あとはあれね。集まったニッチな専門家達の絶妙な気持ち悪さ。発言と発言の間に休符をいれないから聞いててめっちゃ疲れるんですよね。あのコミュニケーション苦手っぽさ最高でしたね。

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この子も気持ち悪くてよかった。(褒めてます)

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あと、こいつも気持ち悪くてよかった!(褒めてます)

 

いやーーーーー。後半にフィクション臭さが充満してしまった部分が本当にもったいないけれど、前半は自分でも驚くほどワクワクしたし、そもそもこうやって良くも悪くも「誰もが熱量を持って語りたくなる!」という部分に庵野秀明イズムを感じずにはいられませんよね。
僕は早くアスカちゃんに会いたいというのに、一向にエヴァ新作の発表が無いことに対するフラストレーションが浄化されてしまったではないか!許さんぞ庵野!!
 
おわり