映画おじさんの絶品クリームシチュー

謎テンションで新作映画の感想を書きます。

SCOOP! 感想

同監督の前作「バクマン。」が良かったので、初日に観てきました。

先に言い切っておきますが、すごい良かったです!!

f:id:ma2baga2:20161002001544j:plain

本記事のネタバレ:ストーリーのネタバレは避けつつ、細かなシーンには触れます。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 和製バディムービー。二人の「相棒感」を観てるだけで幸せ。

まず特筆すべきは主人公、静(福山雅治)とパートナー野火(二階堂ふみ)の「相棒感」がめちゃくちゃ良かったということ!!

極論言ってしまうと、バディ・ムービーはここさえ良けりゃ大合格だと思ってます。この映画は、二人のタッグがバッチリでした。バッチリだったんです!!!

f:id:ma2baga2:20161002003912p:plain

もうこの二人が一緒に行動してるだけで幸せになってくる…最高……。

気性の荒いベテランとぺーぺーの新人がコンビを組んで「なんで俺がこんなクソ素人と!」「なんで私がこんな陰険な上司と!」といがみ合いながら仕事する。そしていざこざを乗り越えていくうちに絆が生まれ、いつしか最高のパートナーに。…これだけ聞くと「ああ、またそのパターンね。」って感じですけども、その王道をバッシィイイイイ!!!!と見事にはめると、こーーーんなに気持ちいいんですね……。とにかくこの「いがみ合い」→「一悶着」→「二人で解決」→「意気投合」→「どんどん成長!」という流れがポンポンポンポンッと巧みに魅せきってくれるので、観てるこっちも無条件に気持ちよくなっちゃうんです。っていうかそもそも僕らはこれを観にきたわけです。その期待に応えてくれたわけです。最高じゃないですか。もうこれだけでこの映画、観てよかった!と言い切れます。

f:id:ma2baga2:20161002211551p:plain

バディ・ムービーの最たる面白みを誠実に踏襲しているのが嬉しいところ。

序盤の静(福山雅治)が編集部で揉めてるシーンや、何かにつけてエロい話ばかりするシーンを観ていた頃は、正直ちょっと薄ら寒く思えてしまい心配しましたが、話が進むに連れてどんどん静という人物に惹かれてしまいました。野火ちゃん(二階堂ふみ)も完璧にハマってましたね。何もわからず入社しちゃいました的なアホっぽさも、一度決めたら行動あるのみな破天荒さも、二階堂ふみさんは全て持ってて良かったです。口を尖らせながら文句言うあの感じがいいんですよね。「最低ですよね。」って、言われたいですね。(本当に最低ですね。)

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain やりたい放題なギャグ要素が、いい感じに功を奏している。

本作はぶっ飛んだギャグシーンが多く存在しますが、この「お前ら無茶苦茶やないか」という笑いが作品全体のバランスを絶妙に保っておりまして。実のところ本作、演出やストーリーに関して「普通そうはならんでしょ…」と思えてしまう点があることは否めません。しかしながら前述したギャグ効果で、ノイズとなり得る疑問や違和感を全てぶっ飛ばしてくれるんですよ。

f:id:ma2baga2:20161002174706p:plain

納得しづらい展開も、勢いで全部もっていくので一周回って清々しいという妙。

例えば連続殺人事件の顔をパパラッチしてやる!というシークエンスに関して、静と野火が企てた作戦、取った行動というのははっきり言って杜撰の一言で、あんなもの端から成功するわけがないんですよね。しかしながら前述した「そうはならんだろ…」という気持ちが、ギャグ調の演出により「そんなんアリかよ!!」へと還元されてしまい、もうこれはこれで楽しめちゃうんですよね。あっぱれです。

あとは、物語の前半でカーチェイスシーンが用意されていて、「カーチェイス自体が食傷気味なのに今更邦画でやられてもなぁ…」と思いながら観ていたら、ちゃんと爆笑してしまう落とし所が用意されていたりとか。とにかくいちいち笑いでぶっ飛ばしてくるスタンスが楽しかったです。

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 勢いだけでは多い隠せないノイズも少々。

まぁ、とはいえ警察無能すぎ問題はどうしてもついて回りました。クリーピーの感想でも同じことを申し上げた気がしますが、物語の辻褄、演出の都合にあわせて警察が下手を打つのが気になりました。

本作は警察が総動員されるシーンが2つ用意されているのですが、まだ1つ目は先述のギャグタッチな演出でからくもカバーしているとして、2つ目に関しては最悪でした。

f:id:ma2baga2:20161002175449p:plain

警察が「雑魚モブキャラ」としての役割しか担っていなかった。

それに加えて、そもそも終盤に用意されているある展開について、実は全体的にノリきれず「静の行動は、もっと他にやりようがあったんじゃないの。」と思ってしまったのですよね。

よくよく考えるとあの展開って、おとなしく通報していたとしても最終的にあの人に対しての結果は変わってなくない?とか思ってしまいまして。だから結局、静は何がしたかったのか、どういう結末にしたくてあの行動を取ったのか、よくわからなかったんですよね。(ネタバレ避けるために指示語多用したら意味わかりませんね……)

むしろ、「この映画をこういう結末にしたい」というシナリオ都合ありきで静を行動させてるように映ってしまい、彼の行動原理が汲み取りにくくなったのではないかと思います。…まあ、これは単に僕が好みじゃなかった点を理屈っぽく批判してるだけかもしれませんね。その後からラストまでは大好きです。

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 「この仕事、ほんっと最高ですね~~~。」

パパラッチという職業を静は「ゴキブリかドブネズミ以下」と称していましたが、メキメキと上達して仕事をこなす二人を観ていると、倫理観はさておき僕たちは少なからず魅力的に思えたはずです。これって結局どの仕事にも通じるところがあって、「努力して」「工夫して」「上達して」「成し遂げる」というプロセスは何物にも代えがたいほど魅力的で、楽しいんですよね。そう、楽しいんですよ。

f:id:ma2baga2:20161002174002p:plain

二人がめっちゃ楽しそうに仕事するんですよ!!こっちも楽しくなってくる!!

自分語りで恐縮ですが僕は社会人なりたての頃は接客の仕事をしてまして、個人別の販売数スタッフで競うような職場だったんですよ。で、入社当初は「なんだこのクソみたいな仕事?」と思いながら働いていたのですが、半年くらいしたらお客様の風貌や会話の端から最適な営業トークをみつけて、バッシバシ売りまくるようになったんですよ。あの時めっちゃ思いましたね。「物を売るの、楽しい~~~~~~~!!!!!!」って。

今は社内SEに転身したのですが、たまに昔を振り返って思います。「バチバチの接客業で売り散らかしてたあの頃の俺、輝いてたな…」と。(あ、このくだりクソつまんねえから忘れていただいて結構です。)

ともかく、仕事ってこういうとこあるよなーーーーって思いながら観てました。 この映画から「働く喜び」を汲み取らせようなんて制作サイドは意図してないでしょうけども。

 

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plainまとめると、この映画、めちゃくちゃ良かった。

なんか途中で文句も言っちゃいましたけど、この映画大好きです。「バクマン。」に続いて大根仁監督に寄せる信頼度が確実なものとなる一本でございました。

主人公二人以外に触れませんでしたが、周囲を固める登場人物もおしなべて素晴らしく、特にリリー・フランキーが良かったですね。もう「お手の物」としか言いようがない。初対面の人と対峙したときとりあえず匂いを嗅ぐところとか最高。(?)

f:id:ma2baga2:20161002181157p:plain

こういう役やらせたら右に出るものはいない。

思い出して笑っちゃうようなシーンも沢山ありますね。個人的にお気に入りなのは「吊り橋効果だーーーー!!」って叫びながら開き直るシーン。

満を持しての(?)ベッドシーンはとても美しくてホロリと来てしまいましたが、ずっと下着つけながらの行為だったのがどうしても不自然にみえてしまい、残念でした。いや、別に裸が見たかったから残念とかじゃなくて!客観的に不自然だったな~って話!!

細かい話で言えば最初と最後のショットがリンクしてましたが、あれはドローン撮影ですかね?とても印象的でした。そしてそして、何より愛を感じるエンディング!!!「バクマン。」ほどサプライズ感は無かったけれど、あの余韻に対してあれをバックに流れるクレジット、最高でしょ…。サービス精神旺盛な監督だなと思いました!!

いやーーーーーー、監督決め打ちで観に行くのも良いものですね。2016年の邦画祭りは最後まで続きそうです。 

 

f:id:ma2baga2:20161002221052p:plain

そういや居酒屋で静と別れたあとの定子(吉田羊)に絡んでたおっさん、後で出てくると思ったらあれだけで笑った。 

おわり