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映画おじさんの絶品クリームシチュー

謎テンションで新作映画の感想を書きます。

ハドソン川の奇跡 感想

本作を視聴した際の印象は「非の打ち所がない」という言葉に尽きます。演出も音楽も画角も役者も全てが適材適所。巨匠の定義を考える時「イーストウッドのような監督」と言ってしまいたくなるほど、圧倒的に、的確な作品でした。

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本記事のネタバレ:予告編で描かれている範囲に留めます。細かなシーンには触れます。

f:id:ma2baga2:20160717093942p:plain 巨匠の風格。的確な演出の前に余計な飾りはいらない。

ハドソン川の奇跡」は実話に基づく伝記映画です。予告で示されている範囲であらすじをご説明しますと、「155人を乗せたフライト中に不慮のトラブルで両エンジンが停止、咄嗟にハドソン川へ水面着陸をさせて奇跡的に乗客全員を守った。しかし後になって、実は水面着陸しなくても空港に帰れたのでは?リスクを犯しただけなのでは?と疑いにかけられることに…」というお話です。作中では本当にこの通りのことが起こるだけなので、下手するとすっごい地味で退屈になりかねないと思います。しかし、この映画は終始我々を没入させてくれます。

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人の心を掴む術を完璧に熟知しているとしか思えない演出の的確さ。

映画が地味で退屈になりそうな時、つい選びがちな手法は、足し算だと思います。より悲惨な演出?より壮大なBGM?…つまり「盛る」のです。本作の演出は、そういったカードを切りません。選び抜かれた手法で作り出されたシーンは洗練されきっており、隣に座ってたお年を召した女性の方はエンドロールで号泣していたほどでした。

とにかく吐く言葉から、行動から、サリーという人物の生き様をひしひしと感じました。だから僅か90分程度でこんなにも胸を打つんでしょうね。

 

f:id:ma2baga2:20161008212650p:plainサリーの生き様から何を学ぶか。まさに伝記映画。

この映画を観て、「説得とはもとより感情に訴えかけるものではない」ということに気づき、感銘を受けました。件のシーンで、主人公サリーは客観的な事実だけを述べて自身を弁解します。その姿から「納得させる」という行為の本質を再認識しました。「命を救おうと必死に力を尽くしたのに疑われるなんて、私のこの気持ちが貴方達にわかるんですか!?」といった主張はお門違いなんですよね。彼が窮地に立たされながら、淡々と、冷静に、理路整然と言葉を並べるあのシーンが僕は大好きです。

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様々な感情が渦巻いてるであろう彼の、発言の落ち着きっぷりが格好良すぎる。

そして冷静でありながら内に秘めた力強さも感じ取れるトム・ハンクスの演技がまた巧いんですよ……!彼はこういう役が得意中の得意ですね。否が応でもブリッジオブスパイを思い出しました。今作を気に入った人は是非こっちも観てくれ~~~~~。ブリッジオブスパイも観てくれ~~~~。

 

f:id:ma2baga2:20161008212650p:plain いつもの雑多に話そうのコーナー

大好きなシーンはいっぱいあるけれど、特に何度も「ワンフィフティファイブ……ワンフィフティファイブ…」って嬉しそうに呟くシーンとか最高だったね~~~。あと休憩を挟んだ時の二人の会話もよかったね~~~。「どう思った?…いや、私から言おう…」と切り出して、次に紡いだあの言葉。一言に全てが詰まっててめちゃくちゃグッときますよね。

 いつもより尺が短いですが、本作をリスペクトして、語りたいことを端的に語って締めようと思います。(これを機に縮小運転を目論む)

おわり